7月の米消費者物価指数は前年同月比5.4%上昇、前月と同じ伸びに
(米国)
ニューヨーク発
2021年08月12日
米国労働省は8月11日、2021年7月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比5.4%上昇したと発表した。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は4.3%上昇となり、民間予想(ウォールストリート・ジャーナル)のそれぞれ5.3%、4.4%とほぼ同じだった。前月のCPIはそれぞれ5.4%、4.5%で、消費者物価指数は横ばい、コア指数は0.2%低下している。(添付資料図参照)。また前月比では、消費者物価指数、コア指数はそれぞれ0.5%、0.3%上昇と、いずれも前月(ともに0.9%)を下回っている。
品目別に前年同月比でみると、前月までと同じ項目の伸びが高いが、これまでよりも伸び率は鈍化した。高い伸びを示した項目としては、ガソリン価格41.8%上昇(前月:45.1%上昇)、中古車41.7%上昇(45.2%上昇)、航空運賃19.0%上昇(24.6%上昇)などが挙げられる(添付資料表参照)。加えて中古車と航空運賃については、前月比でもそれぞれ0.2%上昇(10.5%上昇)、0.1%低下(2.7%上昇)となっているなど、足元では一部品目でインフレ圧力の鈍化がみられる。
今回の結果に関して、運用会社プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフ・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は「発表された(CPIの)データの詳細は、(新型コロナウイルス感染拡大後の)経済再開と供給不足による物価上昇の緩和を示唆しており、インフレがピークに達した可能性を暫定的に示唆している」と述べている。
一方で、雇用が回復傾向にあることなどから(2021年8月10日記事参照)、人々の将来のインフレ期待は引き続き高い。ニューヨーク連邦準備銀行の2021年7月の消費者期待調査では、1年後のインフレ期待値の中央値は4.8%、3年後のインフレ期待値の中央値は3.7%となり、後者は2013年8月以来最高の期待値となっている。
また、ジョー・バイデン政権は、OPECとロシアなどの非加盟主要産油国で構成されるOPECプラスに対し、原油の増産を求める声明を8月11日に出すなど、ガソリン価格の上昇といったインフレ圧力への警戒を強めている。連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は最近のインフレを一時的とするが、FRBの政策目標である2%程度のインフレ率にいつごろなるのか、金融政策の動向とあわせて、引き続き留意が必要な状況にある。
(宮野慶太)
(米国)
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