米USTR、医療製品への対中追加関税の除外延長へパブコメ募集、産業界は除外審査再開を要望

(米国、中国)

ニューヨーク発

2021年08月27日

米国通商代表部(USTR)は8月26日、1974年通商法301条に基づき発動済みの対中追加関税について、適用除外の延長に向けてパブリックコメントを募集すると公表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。パブコメの対象は、新型コロナウイルス対策を目的とした医療製品の一部に限定される。正式には8月27日の官報で公示する。

USTRはマスクや湿布、外科手術器具などの99品目(HTSコード10桁ベース)への適用除外措置を延長していた(2021年3月10日記事参照)が、同措置は9月30日に期限を迎える。パブコメはUSTRのポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで米東部時間8月27日から9月27日午後11時59分まで提出可能で、USTRは最大6カ月の延長を検討する。USTRは延長を判断するに当たって、対象製品の国内生産の状況などに加え、最近のデルタ型変異株による感染拡大も考慮するとしている。除外延長が認められれば、中国からの輸入に本来課せられる最大25%の追加関税(注1)が免除される。

他方、対中追加関税の対象品目の大半は適用除外を受けておらず、産業界などからは幅広い除外措置を求める声が高まっている。米国商工会議所や米中ビジネス評議会など30を超える団体は8月5日に、2020年末に期限切れとなった除外措置の遡及(そきゅう)的な復活と除外審査手続きの再開、追加関税の撤廃に向けた米中間協議を求める書簡をバイデン政権幹部や関係閣僚に送付している。

米税関国境保護局(CBP)の報告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、対中追加関税による関税徴収額は年間356億ドルに上る(注2)。同関税をめぐっては、キャサリン・タイUSTR代表が対中協議の交渉材料として維持する意向を示す一方、ジャネット・イエレン財務長官は米消費者にとって有害として否定的に評価している(「ニューヨーク・タイムズ」紙7月16日)。バイデン政権は発足当初に対中政策を再検討する方針を明かしていたが、タイ代表は8月24日に産業界と会談した際、検討作業は継続中と説明している。

(注1)追加関税率はリストごとに異なる。除外延長となる品目の内訳は以下のとおり。なお、これまでに発表された各リストの品目別適用除外制度の概要と、各リストの適用除外対象品目の発表日および詳細は添付資料を参照。

  • リスト1(対中輸入額340億ドル相当の818品目、追加関税率:25%):24品目
  • リスト2(対中輸入額160億ドル相当の279品目、追加関税率:25%):10品目
  • リスト3(対中輸入額2,000億ドル相当の5,757品目、追加関税率:25%):35品目
  • リスト4A(対中輸入額1,114億ドル相当の3,243品目、追加関税率:7.5%):30品目

(注2)2020会計年度(2019年10月1日~2020年9月30日)を算出期間としている。

(藪恭兵)

(米国、中国)

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