バイデン米政権、学生ローン支払い一時停止措置を2022年1月末まで延長
(米国)
ニューヨーク発
2021年08月12日
米国教育省は8月6日、新型コロナウイスル感染のパンデミック対応で導入した連邦学生ローンの支払い一時停止措置を2022年1月31日まで延長することを発表した。同措置は9月末で失効予定だったが、バイデン政権はさらなる延長が必要と判断した。
2020年3月成立の「CARES法」(2020年3月30日記事参照)で導入した同措置は、期限を迎えるたびに延長されており(2020年8月11日記事参照)、政権交代後もジョー・バイデン大統領は就任時の2021年1月に同措置の9月末までの延長を発表していた。
学生ローン債務は、パンデミック以前からも米国人の大きな経済負担になっていると指摘されてきた。4,000万人以上が同ローンを利用しており、現在の残高は約1兆7,000億ドルに達し、借り手の約3分の1が延滞または債務不履行に陥っているとされていた。パンデミックによるリセッションはこの動きに拍車をかけており、同措置の下ではローン元本と利息の支払い、デフォルト債務の回収が停止されているが、学生ローンの利用者のうち約90%が同措置を利用しているとされている。
最近の民間調査によると、同措置を利用する借り手の約3分の2が学生ローンの支払いを再開する準備ができていないと回答しているが、教育省の声明では、今回の措置を「最後の延長」としている。ミゲル・カルドナ教育長官は「今回の最後の延長は、(現役の)学生やローン利用者に支払い再開の計画を立てるための必要な時間を確保し、スムーズな返済に寄与する」と述べた。しかし、エリザベス・ウォレン議員(マサチューセッツ州)ら一部の民主党議員は声明を発表し、「今回の一時的救済を歓迎するが、それだけでは十分ではない」「われわれは引き続き、1人当たり5万ドルの学生ローン債務の免除を行政に要請する」と、さらなる対応をバイデン政権に求めている。一方で、民主党のナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州)は学生ローンの債務免除を支持する一方で、「(債務免除は)議会だけがその権限を持つ」と述べるなど、学生ローン債務の扱いをめぐっては、バイデン政権や民主党内での主導権争いが激しくなっている様相だ。
(宮野慶太)
(米国)
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