G7財務相会合、法人税率15%以上、デジタル課税は利益率10%基準で合意

(英国、世界)

ロンドン発

2021年06月07日

英国のロンドンで6月4~5日、G7の財務相会合が対面形式で開催された。参加国は会合後、5月28日にオンラインで開催されたG7 財務相・中央銀行総裁会合も踏まえたコミュニケ(原文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))を公表。世界各国の法人税の最低税率を「15%以上」とする意向を示したほか、国境を超えるデジタルサービスへの課税では、大規模で高利益の多国籍企業について「利益率10%を上回る利益の少なくとも 20%」に対する課税権を市場国に与える考えを明記した。G7や先進国間で長く隔たりが大きかったグローバル・ミニマム課税とデジタル課税の双方で、大きく前進した。

2つの国際課税をめぐる合意の背景には、米国の歩み寄りがある。米国政府は4月、OECDとG20の税源浸食・利益移転(BEPS)に関する委員会に、両課税に関する新たな案を提示。デジタル課税では、対象となる多国籍企業を、売上高と利益率で線引きする簡素な案を示していた。5月には、ミニマム課税でさらに踏み込んで、それまでの想定の21%から引き下げ、「15%下限」とする考えを明らかにした。両課税に関する詰めの議論は今後も続き、7 月の G20 財務相・中央銀行総裁会議での合意形成を目指す。

気候関連財務情報や実質的所有者情報も対応強化へ

今回の財務相会合では、議長国・英国の意向を反映し、気候変動に関する議論にも時間が割かれた。コミュニケでは、国際機関・金融安定理事会(FSB)の「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の枠組みに基づき、各国の国内規制に沿いつつ、企業などに気候関連の財務情報の開示を義務付ける方向に進むことを支持すると明示。英国財務省は、2025年までに世界で初めて国内企業に情報開示を義務付ける方針を、2020年11月に打ち出している。

参加国はこのほか、不正資金対策のため、企業の「実質的所有者(beneficial owner)」情報の登録の実施と強化について合意(英政府関連資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。また、新型コロナウイルス感染症流行で財政が悪化した開発途上国支援のため、IMFが近く具体案を示す見込みの特別引出権(SDR)6,500億ドル増額を強く支持したほか、G7各国の一部SDRの自発的融通を積極的に検討しているとした。参加国はさらに、中央銀行デジタル通貨(CBDCs)の共通原則の設定に向けて作業し、2021年後半にその結論を公表する考えも示した。

写真 対面形式で会合に臨むG7各国財務相とIMFなど国際機関代表(英国財務省提供)

対面形式で会合に臨むG7各国財務相とIMFなど国際機関代表(英国財務省提供)

(宮崎拓)

(英国、世界)

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