米国2020年の合計特殊出生率1.64、過去最低を記録
(米国)
ニューヨーク発
2021年05月13日
米国疾病予防管理センター(CDC)の下部組織の国立衛生統計センター(NCHS)は5月5日、2020年の国内出生数が前年比4%減の360万5,201人、女性が生涯に産む子供の数を表す合計特殊出生率は1.64となったという暫定値を発表した。出生数、合計特殊出生率ともに6年連続の減少で、出生数は1979年以来最少に、出生率は前年に引き続き過去最低の値となった。
年齢別では10代と20代の出生率が特に大きく減少(15~19歳で8%減、20~24歳で6%減、25~29歳で4%減)しており、いずれも過去最低を記録した。30代でも、30~34歳で4%減、35~39歳で2%減となっているが、過去最低までにはなっていない。また、1985年以降年平均3%程度で増加し続けてきた40~44歳も2%減少した一方、45歳以上は変わらなかった。ニューヨークのランゴーン医療センターの人口疫学部のローナ・ソープ部長は「今回の出生率の低下は(新型コロナウイルスの)パンデミック以前から明らかだった出生率の長期的な低下傾向に加えて、(衛生環境悪化や経済的困窮など)パンデミックに起因する減少の両方を反映したものだ」と述べている(5月5日付ロイター)。
人口維持に必要な合計特殊出生率は2.1とされており、米国では2007年以降、これを一貫して下回っている(添付資料図参照)。米国の場合、出生数の低下を移民の流入が補うかたちで人口が増加しているが、先日発表された2020年の国勢調査結果によると、2020年4月1日時点の人口は3億3,145万人で、前回調査(2010年)からの増加率は7.4%と、1910年以降で2番目に低かった。先進国の中でも高い米国の成長率はその人口増加に支えられてきただけに、今後の人口や出生数の動向が注目される。
(宮野慶太)
(米国)
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