米センサス局、州別下院議席定数の変更を大統領に報告、共和党に有利に
(米国)
ニューヨーク発
2021年04月30日
米国商務省センサス局は4月26日、2020年の国勢調査(センサス)に基づき、一部の州で連邦下院議席数が変更になることを、ジョー・バイデン大統領に報告した。大統領は同結果を米国議会に移送し、議席定数の変更は2022年11月に実施予定の議会中間選挙から適用されることになる。
米国では国勢調査が10年に1度行われ、そこで確定した州別の人口数に基づき、全435の下院議席数が各州に配分される。今回の結果により議席定数が増えたのは、テキサス、コロラド、フロリダ、オレゴン、モンタナ、ノースカロライナの6州で、テキサスの2議席増以外は全て1議席増となる。逆に減ったのは、カリフォルニア、イリノイ、ミシガン、ニューヨーク、オハイオ、ペンシルベニア、ウェストバージニアの7州でそれぞれ1議席減となる(添付資料表参照)。米国民が、北東部・中西部および西部のカリフォルニア州から、南部または西部内の山岳部に移住している傾向が見て取れる。
議席定数の変更は、2022年11月実施予定の連邦議会中間選挙の結果を受けて、2023年1月に開会する第118議会から反映される。さらに、2024年、2028年に実施される大統領選挙において、各州に配分される選挙人の数にも反映されることになる(注)。米国主要紙は、議席定数の変更は共和党に有利に働く可能性を示唆している。理由の1つとして、共和党寄りの州が議席数を積み増したことが挙げられる。今回増減のあった13州を、2020年の大統領選挙で、民主党候補が勝った州と共和党候補が勝った州で分けると、共和党勝利州が計3議席増える一方、民主党勝利州は計3議席減らすことになる。
さらに、各州では今後、国勢調査結果に基づいて州内の選挙区割りを改定することになる中、今回、議席定数を増やした州のうち、共和党が選挙区割りの権限を有する州が3州と、民主党の1州に比べて多いことが挙げられる。政治的中立性を維持するために、独立した委員会に選挙区割りの権限を委譲している州もあるが、州知事と州議会が選挙区割りを決める州も多く、党派勢力が大きく影響する。今回、議席定数を増やしたテキサス、フロリダ、ノースカロライナの3州は後者のパターンで、最終的に共和党が権限を握る状況にある。一方、民主党が今回議席を増やした州のうち、同様の権限を握る州はオレゴン州のみとなっている。
センサス局によると、各州が選挙区割り改定のために必要な、自治体レベルの人口分布を示したデータについては、8月16日までに各州に届ける見込みとしている。中間選挙を見据えた政治的な戦いが既に始まっている。
(注)各州の選挙人(合計538人)の数は、州に配分された下院議席定数(合計435人)に、全州に2議席ずつ平等に配分されている上院議席数(合計100人)を加えた数となる。なお、連邦議員のいないワシントンDCには3人が割り当てられている。
(磯部真一)
(米国)
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