IEA-COP26ネットゼロサミットを開催、7つの主要原則を発表
(英国)
ロンドン発
2021年04月02日
英国政府は3月31日、国際エネルギー機関(IEA)と共催で「IEA-COP26ネットゼロサミット」をオンラインで開催した。世界のGDP、人口、温室効果ガス排出量の80%以上に相当する40カ国以上が参加。11月に英国グラスゴーで開催される第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に先立ち、クリーンエネルギーへの移行(トランジション)加速のための国際協力と政策実行の必要性について議論した。日本からは、梶山弘志経済産業相が参加した。
サミットでは、IEAが今回提示したネットゼロ(温室効果ガス純排出ゼロ)の実現に向け次の7つの主要原則が支持された。
- ネットゼロに向けた持続可能な復興の推進
- 2030年およびそれ以降に向けた明確で野心的かつ実行可能なロードマップの策定
- 各国間の情報共有によるトランジションの促進
- ネットゼロ達成に向けたセクターごとの脱炭素化とイノベーションの加速
- 官民による投資促進
- 人々を中心としたトランジションの支援
- 新たなエネルギーシステムにおけるエネルギー安全保障の確保
各国政府の行動支援のため、IEAは2021年5月18日に、2050年までに世界のエネルギー部門のネットゼロ化のための初の包括的なロードマップを発表する予定。
英国のアロク・シャーマCOP26議長は、同サミットの開催に当たり「世界中で計画されている500ギガワット分の新規石炭火力発電所はパリ協定とは相いれない」とコメント。「英国は国外の化石燃料エネルギーへの新たな公的資金投入を行わない」と続け、脱石炭火力・脱化石燃料を呼び掛けた。英国政府はこの日、2020年12月に発表した国外化石燃料プロジェクトへの公的資金投入停止(2020年12月15日記事参照)を、同日から適用することも発表した。
途上国支援に向けた閣僚級会合も開催
英国政府は「IEA-COP26ネットゼロサミット」と同日、「気候と開発に関する閣僚級会合」もオンラインで開催。開発途上国に焦点を当て、次の4つの主要分野での行動計画などについて意見を交わした。
- 気候変動の影響への対応:気候変動に伴う損失や被害に対処するための調整や国際協力を強化。
- 財政と債務救済:途上国の財政圧迫を軽減し、気候変動への対応を可能に。
- 資金調達:気候変動の影響を受けやすい国・地域が経済の脱炭素化と気候変動に対応するための資金アクセスを改善。
- より良い資金:気候変動対策資金の量・質・構成の改善における課題に対応。
会合は、シャーマCOP26議長とドミニク・ラーブ外相が共同議長を務めた。シャーマ議長は会合で、「われわれは、気候変動に関し、最も悪影響を引き起こしていない人々が最も苦しんでいることを認める必要がある」と指摘。「先進国には、気候変動の影響を最も受けやすい地域を支援する責任がある」と続けた。
(宮口祐貴)
(英国)
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