世界の2020年のBEVとPHEVの新車登録、前年比4割増の約300万台
(世界)
国際経済課
2021年04月30日
国際エネルギー機関(IEA)は4月29日の報告で、バッテリー電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の2020年の新車(乗用車)登録台数合計が前年比40.8%増の297万台になったと発表した。BEVは30.2%増の201万台で、PHEVは69.7%増の97万台。
地域別にみると、欧州が137万台(2.4倍増)、中国が116万台(9.3%増)と2地域で世界全体の85%のシェアを占める。BEVは最大市場の中国が93万台(11.6%増)で、欧州が2.1倍増の75万台と続く。一方のPHEVは欧州が3.1倍増の63万台で最大市場となり、中国は23万台(0.9%増)だった。欧州市場におけるPHEVの大幅増により、欧州がBEVとPHEVの2種類合計でも、2020年に初めて、前年まで(注1)最大市場だった中国を追い抜いたかたちだ。
なお、世界市場における乗用車と商用車(小型商用車、バス、トラック)を合わせた自動車(自動二輪・三輪を除く)の2020年の新車登録台数は316万台だった。
また、IEAは2030年までの登録台数を予測しており、現在の政策の方向性と目標を考慮に入れたベースラインシナリオ(注2)と、EVが急速に普及するなどの野心的シナリオ(注3)の2つを提示している。ベースラインシナリオでは2030年のEVの新車(自動車)登録台数は2,576万台(中国954万台、欧州712万台、米国286万台など)、野心的シナリオでは同4,664万台(欧州1,327万台、中国1,195万台、米国808万台など)と、それぞれ予測する。2030年までにBEVやPHEVが急速に普及するかどうかは、特に欧米諸国における市場拡大が鍵を握るとみている。
BEVとPHEVの2020年までの累計登録台数(自動車)は1,126万台(乗用車のみは1,020万台)だった。2030年までの累計登録台数は、ベースラインシナリオで1億4,267万台、野心的シナリオで2億2,725万台となる見通し。
(注1)IEAの同報告では2015年からの統計しか公表されていない。
(注2)公表政策シナリオ(Stated Policies Scenario)。IEAが「世界エネルギー予測(World Energy Outlook)」などの報告書で描く、ベースラインとなるシナリオ。国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された、パリ協定の目標達成に必要なCO2削減量からは大きく乖離した状態。
(注3)持続可能な開発シナリオ(Sustainable Development Scenario) 。パリ協定の長期目標などを完全に達成するシナリオ。2070年にカーボンニュートラルを達成する想定。
(古川祐)
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