自動車メーカー各社、国内工場の車両電動化の対応進める

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年03月23日

ドイツに拠点を有する自動車メーカーは、バッテリー電気自動車(BEV)への移行を進めるべく、国内工場の開発・生産体制の改編を進めている。ドイツ自動車大手ダイムラー傘下で乗用車・小型商用車を扱うメルセデス・ベンツは3月5日、1904年に設立した同社の基幹工場であるドイツ南部バーデン・ビュルテンベルク州のシュツットガルト・ウンタートゥルクハイム工場を車両電動化に対応したものにすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

具体的には、同工場がこれまで担ってきた内燃機関用のエンジン、トランスミッション、車輪軸などの研究・製造を徐々に縮小し、電動車用駆動の研究・製造、蓄電池の研究・生産を増やしていく。次世代自動車のカギとなる蓄電池については、同工場にある既存研究施設で研究開発を拡大するほか、リチウムイオン電池セルを小規模で生産する工場も新設、2023年に操業の予定だ。また、蓄電池システムは2021年からSクラスのBEVである「EQS」など向け、次いで2022年からはプラグインハイブリッド車向けに、同工場で生産する見込み。

メルセデス・ベンツは同工場の電動化対応のため、今後数億ユーロを投資するとしている。ヨルク・ブルツァー・メルセデス・ベンツ取締役(生産・サプライチェーン担当)は同工場の電動化対応について、「メルセデス・ベンツの次世代転換へのかじを明確に電動化に向けて切るもの」とコメントした。

同工場で生産する内燃機関車向け駆動系部品の生産量は、将来的には、効率性と利益率の最大化の観点から検討していくという。メルセデス・ベンツは、内燃機関車向け駆動の生産縮小が従業員数の調整につながる可能性もあるとしている。同工場の従業員数は現在約1万8,500人。

米国フォードは2月下旬、ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州のケルン工場を欧州向け電動車の研究開発・製造拠点にすべく、10億ドルを投じると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。同拠点で最初に開発したBEVは、2023年から生産する見込み。フォードは2026年までに同社が欧州で販売する全ての乗用車モデルについて、BEVまたはプラグインハイブリッド車とし、2030年からは全てをBEVのみとする計画だ。BMWも2020年11月、BEVへの移行を進めるべく、総額4億ユーロをかけてミュンヘン工場に組み立てラインを新設すると発表している(2020年12月1日記事参照)。

写真 シュツットガルト・ウンタートゥルクハイム工場(ダイムラー提供)

シュツットガルト・ウンタートゥルクハイム工場(ダイムラー提供)

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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