米ホワイトハウス、2030年までに30GWの洋上風力発電量を目指すと発表
(米国)
ニューヨーク発
2021年03月31日
米国ホワイトハウスは3月29日、内務省やエネルギー省、商務省などと共同で、洋上風力発電能力を拡大する方針を発表した。2030年までに30ギガワット(GW)の洋上風力による電力生成を目指すという。30GWは1,000万世帯以上への年間電力供給に十分な量となる。欧州などで先行している洋上風力発電だが、米国でも今回の方針を契機に普及していく可能性がある。
現状では、米国で稼働している洋上風力発電はロードアイランド州沖にある30メガワット(MW、0.03GW)の設備とバージニア州沖にある試験プロジェクトの2カ所にとどまるが、20GW分を超える洋上風力発電開発プロジェクトが進行中とされる(ロイター3月29日)。こうした進行中のプロジェクトに加えて、連邦政府はニューヨーク開湾に新たな洋上風力発電開発区域の開発を推進するほか、洋上風力発電プロジェクトに対する総額30億ドルの債務保証、港湾整備に対する2億3,000万ドルの資金提供などにより、企業の設備投資を後押しする。また、ホワイトハウスは、目標の達成により、7,800万トンの二酸化炭素排出量の削減や7万7,000人の雇用の創出につながるとしており、クリーンエネルギーの推進と雇用創出の両立を訴えた。
洋上風力発電で先行するEUは2020年11月、現状の12GWの発電能力を2030年までに60GW、2050年までに300GWまで引き上げると発表している。中国は2019年の洋上風力発電能力の新設分が国別で最大となっているほか、日本でも2030年度までに10GWの導入を目指しており、各国で洋上風力発電の整備が進む。今回の米国の方針発表はこうした流れに沿うものだが、一部の漁業団体からは洋上風力発電所開発について、漁業への影響を懸念する声も上がっている。これに対して、ジーナ・レモンド商務長官は記者会見で「両者(漁業と風力開発)の緊張をうまく調整する」と述べており(ロイター3月29日)、今後の関係団体との調整にも注目が集まる。
(宮野慶太)
(米国)
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