富士フイルム、米ノースカロライナ州にバイオ医薬品の大型製造拠点設立へ
(米国、日本)
アトランタ発
2021年03月23日
富士フイルムは3月18日、子会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)が米国ノースカロライナ州ホーリースプリング市にバイオ医薬品の大型製造拠点を建設すると発表した。投資額は20億ドルで、2025年春までに稼働開始を予定し、2028年までに725人を雇用することが見込まれている。
FDBは、富士フイルム傘下で最大のバイオ医薬品のCDMO(注1)拠点を全米有数のハイテク・パークであるノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク(注2)に1996年から所有していた。今回の新工場は同州内2カ所目で、北米で最大の拠点となる(「Genetic Engineering & Biotechnology News」紙電子版2021年3月19日)。
富士フイルムは過去約1年間で、デンマークの拠点への9億2,800万ドルの大型設備投資をはじめ、英国の拠点(90億円)、マサチューセッツ州ボストンエリア(40億円)、テキサス州カレッジ・ステーション(130億円)などへの投資も発表していたが、今回の新工場建設が最大の投資額となる。
今回の新拠点建設は、12年間で州の経済を55億ドル成長させると見込まれている。州の雇用開発投資補助金(JDIG)契約に基づき、FDBには15億ドルの資本投資に対して今後12年にわたって最大約1,970万ドルの助成金の支払いが認められている。
ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事は「今回の富士フイルムの決定は、イノベーティブなバイオテック企業にとって、ノースカロライナ州が世界有数の環境であることを示している」と述べた。また、同州経済開発機構ビジネスリクルートメント・バイスプレジデントのメリッサ・スミス氏は「2020年における国内外のライフサイエンス企業の増資発表により、約30億ドルの新規投資と4,800人の新規雇用が州にもたらされる見込みだ。州内には、6万7,000人以上の高度なスキルの従業員を雇用する770社以上のライフサイエンス企業がある。富士フイルムの新規投資プロジェクトは、ライフサイエンス業界で既に確立しているノースカロライナ州の世界的な評価をさらに高めることになり、今後の大型案件誘致につながる」と語った。(「Economic Development Partnership of North Carolina」紙電子版2021年3月18日)
(注1)Contract Development and Manufacturing Organizationの略。薬剤開発初期の細胞株開発から生産プロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する(3月19日富士フイルムプレスリリース)。
(注2)リサーチ・トライアングル・パークについては、セレクト・USAが2020年6月23日に実施したバーチャル・ツアーも参照。
(石田励示)
(米国、日本)
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