米テキサス州、寒波で大規模な停電

(米国)

ヒューストン発

2021年02月16日

米国テキサス州では2月15日午前1時過ぎから、氷点下の猛烈な寒波の影響で、380万件以上の大規模な停電が発生している。計画停電の実施が報じられているが、発電所の問題により15日午後5時時点で、同日未明から電力が一切回復していない地域もある。寒波の影響で発電所施設の稼働が止まる一方、暖房需要が急増したことが影響した。

テキサス州内の9割の電力系統運用を行う機関「アーコット」(ERCOT:Electric Reliability Council of Texas)は、州内風力発電所のタービンの凍結、火力発電所へのガス供給の滞りが発電能力を低下させたとしている。

ヒューストンの地元テレビ放送局では、さらなる気温低下が見込まれる15日夜から16日未明にかけて電力需要が供給を大幅に上回り、停電拡大の危険があると報じている。アーコットは、計画停電は寒波の影響が収まるまで続く見込みとし、商業施設、学校、家庭など全ての需要者に対し、可能な限りの節電を呼び掛けている。

ヒューストン市では2月15日午後時点、地元電力大手センターポイントエナジー(本社:テキサス州ヒューストン)の顧客120万件で停電が発生している。同市のシルベスター・ターナー市長は15日午後の会見で「現在停電中の家庭では、本日中、さらには明日にかけて電力が戻らない可能性が十分ある」と警戒を呼び掛けた。同市内では、日本企業駐在員が居住するアパートでも15日未明から停電が続き、寒波の影響とみられる漏水で床が水浸しになるなどの被害が出ている。

ルイジアナ州との州境ポートアーサー市で日量63万バレルの原油を処理する北米最大のモティーバの製油所は、今回の寒波の影響により操業を停止。また、ヒューストン地域の南に位置するガルベストン市でも2月15日、9割以上の家庭で停電が発生した。

テキサス州の発電源(2019年)は天然ガス47%(全米:38%)、石炭20%(23%)、風力20%(7.3%)と、風力の割合が大きい。特にこの10年で、石炭火力(2009年:37%)が減る一方、風力発電(6%)は3倍以上に拡大してきた。今回、一部の風力発電が寒波の影響で運転停止になったことを受け、早速、再生可能エネルギーは化石燃料同様に信頼できるエネルギー源になるだろうが、急激な変化を急ぐべきではないとする専門家の論評も出ている(「フォーブス」誌2月15日)。

(桜内政大)

(米国)

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