雇用創出法、法務・人権省が49本の細則を公布
(インドネシア)
ジャカルタ発
2021年02月19日
インドネシア法務・人権省は2月16日、法律2020年第11号(以下、雇用創出法)の施行細則について、その大部分にあたる45本の政府規則と4本の大統領規則の計49本を公布したと発表した。同省は、今回の公布を含め、懸案となっている法定最低賃金や契約社員取り扱いの改定、および失業保険の新設など労働分野に加え、外国企業と内国企業の合弁比率やビジネス上の手続きを定めた投資分野など、最終的に49本の政府規則と5本の大統領規則を公布する予定だ。
インドネシア政府は、2020年11月2日のジョコ・ウィドド大統領の雇用創出法への署名・発効後、細則の策定を行ってきた。策定のプロセスでは、細則の案を特設ウェブサイト上に掲載して国民からの意見を募集したほか、全国主要都市での説明会や外国商工会議所などへの情報提供などを複数回にわたり実施するなど、透明性を確保してきた。一方、同法はその発足以来、労働者の権利削減や環境保護に関する懸念から、さまざまな市民社会グループから抗議を受けており、現在、憲法裁判所に雇用創出法の司法審査と正式審査を提案している政党が多数あるとされる(「テンポ」紙2月17日)。
公布に際し、ヤソンナ・ラオリ法務・人権相は「雇用創出法が国の経済成長と改善のための前向きな刺激となり、地域社会に多くの雇用を開放するよう作られた」と説明した上で、「同法の施行は、許可を簡素化し官僚機構を削減することで政府が投資機会をつかむための画期的な方法で、2020年に低迷を経験した国民経済を回復するためのワクチンになることを願っている」と強い期待を表した。
インドネシア商工会議所(KADIN)副会頭のシンタ・カムダニ氏は「雇用創出法がどの程度経済を後押しできるかは、どれだけ法律の内容と一致した細則の実施・運用ができるか、また潜在的な投資家に対する利便性をどの程度提供できるかによる」との見解を示した。加えて、「国民経済への後押しを最大化するためには、同法は単独では成り立たない」とし、雇用創出法以外に、経済回復に向けた重要な要素として、新型コロナウイルスへの対応強化、ビジネス渡航の解禁、雇用創出法で触れられていない分野の構造改革を挙げた(アンタラ通信2月17日)。
(尾崎航)
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