2020年第4四半期のGDP成長率は前期比でプラス維持も、通年では記録的マイナス
(英国)
ロンドン発
2021年02月17日
英国国民統計局(ONS)の2月12日発表によると、英国の2020年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率(第1次速報値)は前期比で1.0%となり、現行方式で調査を開始した1955年以来最大の上げ幅を記録した前期に引き続き、プラス成長を維持した(添付資料図参照)。一方で、前年同期比ではマイナス7.8%と、他の欧州主要国と比較しても回復に遅れが目立つ。また、2020年通年の成長率は前年比マイナス9.9%となり、1709年の大寒波時(マイナス13%)以来、約3世紀ぶりの大きな落ち込み幅を記録した。
2020年のGDP成長率を需要項目別にみると、内需を牽引する個人消費(家計最終消費支出)は前年比マイナス10.7%、政府支出がマイナス5.7%となり、春から断続的に続く新型コロナウイルスに伴うロックダウンなどの規制措置の影響を大きく受けた(添付資料表参照)。輸出・輸入も通年でそれぞれ16.7%減、18.1%減と大幅に減少した。
産業別にみると、全産業で前年比マイナスとなり、特に、流通・ホテル・レストランで前年比14.9%減と厳しい結果になった。次いで、建設業が12.5%減を記録した。住宅建設を中心に第3四半期(前期比:40.7%増)と第4四半期(4.6%増)に大きく持ち直したものの、新型コロナウイルスの影響前の水準には届かなかった。
2020年の実質GDP成長率マイナス9.9%は、主要7カ国(G7)の中でも最低となった。2月12日付のスカイニュースによると、スーナック財務相は、3月3日に発表予定の年次歳出予算案は引き続き雇用の確保に注力するものにすると述べている。
イングランド銀行(中央銀行)は、2月4日に発表したレポートの中で、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前期比マイナス4%と予測。新型コロナウイルス変異株のまん延により、2020年12月から続くロックダウンの影響を理由として挙げている。一方、新型コロナワクチン接種の浸透が、第2四半期以降の行動規制措置などの緩和につながり、2021年通年では前年比5%のプラス成長を予測している。
(杉田舞希、尾崎翔太)
(英国)
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