コンテ首相が辞意表明、大統領は新内閣組閣に向け協議開始
(イタリア)
ミラノ発
2021年01月27日
イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は1月26日、同日に行われた閣議において辞意を表明した。コンテ首相が率いる与党内では、マッテオ・レンツィ元首相を党首とする政党イタリア・ビバ(注)が、欧州安定メカニズム(ESM)からの支援受け入れ方針およびEU加盟国間で合意した復興基金の国内における使途などをめぐって意見が対立。イタリア・ビバは、1月半ばに同党から出している2閣僚を辞任させ、連立政権から離脱するかたちとなっていた。
これを受け、コンテ首相は1月18日に下院、同19日に上院で信任投票を実施。信任投票自体は乗り切ったものの、イタリア・ビバの離脱に伴い、上院では安定して過半数を確保することが難しくなり、体制の立て直しが急務になっていた。
コンテ首相は閣議で辞意を伝えた後、セルジオ・マッタレッラ大統領に辞表を提出した。大統領府によると、マッタレッラ大統領は翌27日から各党との協議を開始し、新内閣の組閣に向けて検討を開始することとなっている。
課題山積の中、見通しは不透明
新型コロナウイルス対応をはじめとした課題が山積する中、今後の先行きは不透明だ。ANSA通信は1月26日、コンテ首相はマッタレッラ大統領から再度首相に指名されることを見込んでいると伝えている。コンテ首相が再就任した場合は、2018年の第1次、2019年の第2次に次いで、第3次コンテ内閣が組成されることになる。現連立政権を構成する、五つ星運動と民主党、および「自由と平等」の3党は、コンテ首相を引き続き支持するとしているが、公共放送RAIは1月26日、第3次コンテ内閣が組閣される場合、内閣を支えるべく(過半数を確保することができるような)上院での数の拡大を実現できるかがカギになるとしている。
収束が見通せない新型コロナウイルスの感染封じ込めや、「新型コロナ禍」で深刻な影響を受けた経済の浮揚、また10月には議長国としてG20首脳会議(サミット)を主催する責務を控えるなど、各種課題が蓄積している中で、今回の混乱を招いたレンツィ氏には批判の声が集まる。五つ星運動のルイジ・ディ・マイオ外務・国際協力相は「意味のない政権の危機によって、コンテ首相は辞任した」とし、安定的な政権運営が求められる中、不要な不確実性を招くものと批判を強めている。
(注)第2次コンテ内閣の成立直後に、レンツィ元首相が民主党を離党し、立ち上げた政党。これまでは、与党入りしていた。
(山崎杏奈)
(イタリア)
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