ルッテ内閣、育児手当をめぐる「前例のない誤り」で総辞職へ

(オランダ)

アムステルダム発

2021年01月18日

オランダのマルク・ルッテ内閣は1月15日、税務当局が育児手当を不当返還させていた問題の責任をとり、総辞職を表明した。この問題を調査していた下院の育児手当に関する議会尋問委員会は12月17日、最終報告書上で法の原則に違反しており「前例のない誤り」と公表していた。オランダでは、3月17日に下院選挙を予定しており、それまでは現内閣が暫定的に指揮を執るとみられる。

ルッテ首相は同1月15日、辞任の声明でこの問題に関して、政治、行政、司法制度全体を通して何千人もの世帯に対し大変な誤りをもたらしたと認め、政治的責任は現内閣にあるとした。また、議会尋問委員会が発表した最終報告書への実質的な対応として、影響を受けた世帯に対する金銭的補償を適切に行うこと、新しい手当の制度導入を進めること、さらに閣議決定の根拠となる文書の情報公開を実施することを示した。

一方、下院選挙までの間、オランダの国益のために対応する必要があるとし、今後数カ月間は新型コロナウイルス対策に専念し、既存および発表済みの経済支援パッケージの実施を通じて、経済的、社会的影響の緩和に引き続き取り組んでいくと表明した。

オランダ産業経営者連盟(VNO-NCW)とオランダ中小企業連盟(MKB)は同日、議会尋問委員会の最終報告書を踏まえるとルッテ内閣の総辞職は当然としながらも、前例のない「新型コロナ危機」に直面している中で、暫定内閣として経済支援パッケージの実施に必要な調整など、経済的影響に対し最優先かつ継続的に取り組むとしていることを歓迎すると発表した。また、対外政策やその他の政策についても継続的に決定していくことを期待するとした。

(高橋由篤)

(オランダ)

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