バイデン米大統領、新型コロナ変異種対策で南アからの入国を制限、既存の制限も継続
(米国、南アフリカ共和国、欧州、ブラジル、中国、イラン)
ニューヨーク発
2021年01月26日
ジョー・バイデン米国大統領は1月25日、新型コロナウイルスの変異種による米国内の感染拡大を防ぐため、変異種の感染者数が拡大している国々に滞在歴のある外国人の米国への入国を禁止する大統領布告を発表した。
入国禁止の対象者は、米国到着予定日から数えて過去14日以内にシェンゲン協定圏内の欧州26カ国、英国(欧州外の領土を除く)、アイルランド、ブラジル、南アフリカ共和国に滞在歴のある米国非市民の移民と非移民(注1)としている。南アのみ米東部時間1月30日午前0時1分から有効、それ以外の国・地域は26日午前0時1分から有効だ。
新型コロナウイルス感染拡大防止対策としての渡航制限は以前、ドナルド・トランプ前大統領により、中国やイラン、欧州26カ国、英国とアイルランド、ブラジルに滞在歴のある外国人を対象に出ていたが、トランプ氏は離任直前の1月18日に、26日をもって欧州26カ国、英国、アイルランド、ブラジルからの入国制限措置を取り下げると発表していた。しかし、バイデン大統領はトランプ氏による取り下げを撤回した上、南アを新たに対象国に加えた。中国、イランはトランプ前大統領による取り下げ対象とはならなかったため、引き続き過去14日以内にこれらの国に滞在歴のある外国人も米国への入国が禁止される。
制限対象外の国からの渡航は認めているが、米国へ空路で入国する際は国籍や滞在国を問わず、出発前3日以内に受けた感染検査の陰性証明書を提出することが義務付けられている(2021年1月14日記事参照、注2)。
大統領布告でバイデン大統領は、新型コロナウイルス対策は迅速かつ徹底的に行われるべきとし、バイデン政権では科学に基づいた公衆衛生の対策方針を立てていくとした。また、米疾病予防管理センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長は24日、米メディアに出演した際、これからは国防総省や食品医薬品局(FDA)とともに、新型コロナウイルス変異種の監視と変異種がワクチンや治療法効果に与える影響の研究も積極的に進めていくとした(「ブルームバーグ」電子版1月24日)。
(注1)対象外となるのは、永住権保持者、米国籍保有者(非市民)、米市民または永住権保持者の配偶者、21歳未満で未婚の米市民または永住権を保有する子供の親、米市民または永住権を保有する者の兄弟(ただし、両者が21歳未満で未婚であること)など。
(注2)CDCは本措置に関して1月25日、よくある質問(FAQ)を加えたウェブページの情報更新を行っている。なお、過去3カ⽉以内に陽性だった場合は再検査は推奨されておらず、陽性証明書と医療機関などが発⾏する旅⾏許可書の提出をもって、陰性証明の代わりとすることもできる。
(吉田奈津絵)
(米国、南アフリカ共和国、欧州、ブラジル、中国、イラン)
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