ASEAN、SDGsに関する報告書発表

(ASEAN、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム)

アジア大洋州課

2020年11月04日

ASEAN事務局は10月23日、持続可能な開発目標(SDGs)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに関する報告書「ASEAN SDG Indicators Baseline Report – 2020外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同報告書はASEAN各国の2016~18年の統計に基づき、SDGsグローバル指標(SDGs Indicator)の現状をまとめたもの。国連が提唱するSDGsには、貧困や飢餓の削減、産業基盤、気候変動など17項目の指標がある。同事務局のプレスリリースによると、今回の発表は、ASEAN各国のSDGsの達成状況をモニタリングし、各国あるいは地域における政策立案を支援する目的がある。

報告書は全17項目のうち13項目を取りまとめている(添付資料表参照)。このうち、貧困に関しては、ASEAN域内人口の13%が各国で定める貧困線未満の生活水準にある。飢餓についても、5歳未満の子どもの27%が栄養不良による発達阻害(Stunting)の状態だ。他方、識字率では、ASEAN10カ国中7カ国で90%超に達している上、安全な飲み水や家庭への電力供給の比率はそれぞれ8割、9割超と高い。また、ASEAN10カ国平均で1人当たりの実質GDP成長率は4.5%に達している。しかし、気候変動関連の災害で、10万人中3,524人が死亡または行方不明になっている。

ASEAN各国におけるSDGsの進展度合いも報告している。例えば、インドネシアでは2018年に貧困率が初めて1桁台(9.8%)まで下降した(目標項目1:貧困をなくそう)。また、同年のシンガポールの1日当たり鉄道利用者数は350万人(延べ)となった(目標項目9:産業と技術革新の基盤をつくろう)。タイでは、2000年~2015年の国連ミレニアム開発目標(MDGs)期間中、人口に占める栄養不良率が34.5%から7.5%まで減少した(目標項目2:飢餓をゼロに)。ベトナムでは、熟練工の比率が2000年の10.3%から2016年までに倍増した(目標項目4:質の高い教育をみんなに)。

報告書は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、各国のSDGsの進展にも悪影響が及ぶことも示唆した。

(山城武伸)

(ASEAN、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム)

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