2020年の再生可能エネルギー発電能力、過去最高を更新の見込み

(世界)

国際経済課

2020年11月12日

国際エネルギー機関(IEA)は11月10日、再生可能エネルギーに関する年次報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。IEAによると、2020年の再生可能エネルギーの発電能力は前年比4%増加し(注)、過去最大の198GW(ギガワット)に上る見通しだ。全世界の2020年の発電能力増加分の約90%を再生可能エネルギーが占める。5月の予測では、同年の再生可能エネルギー発電能力を167GWと予測していたが、9月までの月次の容量追加状況が予想を上回ったことから、上方修正した。IEAは新型コロナウイルスによるサプライチェーンの混乱や建設の遅れにより、2020年前半の再生可能エネルギープロジェクトの進行速度が鈍化したが、5月中旬以降、物流の課題はほぼ解決されたとしている。

電源別にみると、発電能力増加を牽引するのは風力発電(前年比8%増)と水力発電(同43%増)だという。他方、再生可能エネルギーの中でも構成比が高い太陽光発電(2019年のシェアは56.5%)については、発電能力は前年並みにとどまるとした。国別にみると、発電能力の増加に特に寄与したのは中国と米国で、ともに前年比約30%増となった。両国の発電量増加についてIEAは、米国におけるオンショア風力発電の税控除(production tax credit)や、中国のオンショア風力発電と太陽光発電に対する補助金がいずれも2020年で終了することを背景に、「開発者が政策変更前にプロジェクトを完了させようと急いでいる」と指摘した。

2021年の発電能力は218GW(前年比10%増)になると見込んでいる。2020年にサプライチェーンや建設に混乱が生じたことで遅延していたプロジェクトの立ち上げや、持続した政策支援などにより、一部の市場で成長が続いていることが背景にある。

さらに、IEAは世界の総発電量に占める再生可能エネルギーの割合は2025年までに33%に達し、石炭に代わる最大の電力供給源となると予測した。再生可能エネルギーを電源別にみると、水力発電量は微増にとどまる一方、風力と太陽光による発電能力は2025年までに2,349GWと、2019年(1,226GW)から2倍近くに増加するとした。

(注)報告書には小数点以下の記載がない。

(柏瀬あすか)

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