米カリフォルニア州、2035年までにガソリン車の新車販売を禁止と発表
(米国)
サンフランシスコ発
2020年10月02日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は9月23日、同州内におけるガソリン車の新車販売を2035年までに禁止すると発表し、同年までに州内で販売する全ての新車(乗用車およびトラック)をゼロ・エミッション車両とすることを義務付ける知事令を発した。ガソリン車両の所持や中古車販売は対象外となる。これは、気候変動への対策として、化石燃料の需要を劇的に減らすことを目的とする。
同発表によると、同州内の温室効果ガス排出の50%以上が輸送セクターによるもの。ゼロ・エミッション車両の新車販売を義務化することで、同州内の車両から排出される温室効果ガスの35%以上、窒素酸化物の80%削減を目指す。
この知事令を受けて、カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は、2035年までにゼロ・エミッション車両の新車販売義務化の詳しい規則と、2045年までに同州内で走行できる中・大型トラックをゼロ・エミッション車両のみとする規則も策定する予定だ。
国際クリーン輸送協議会(ICCT)の2020年8月の報告書によると、2019年に全米で販売された(中古車を含む)電気自動車(注1)のうち、約50%がカリフォルニア州で販売されたもの。都市別で同年の新規登録車両に占める電気自動車の割合をみると、サンノゼが20%で最も高く、自動車を購入する5人に1人が電気自動車を選んでいることになる。電気自動車の新規登録台数でも、ロサンゼルスが最も多い約5万5,000件、次いでサンフランシスコ、サンノゼ(約2万8,000件、約2万件)と、カリフォルニア州は全米最大の電気自動車市場だ。一方、報道によると、ゼネラルモーターズ(GM)やトヨタなどから成る自動車イノベーション協会(AAI)(注2)からは、「『命令』や『禁止』で市場は成功しない。カリフォルニア州の新車販売のうち、電気自動車は10%にも満たない」と否定的コメントが出された。
排ガス削減目標を緩和しようとするトランプ政権と、グリーン化を促進したいカリフォルニア州は、燃費基準などをめぐって激しく対立している。9月23日、ホワイトハウスの記者会見に同席したラリー・クドロー国家経済会議委員長は今回の知事令に関して、「非常に極端な判断のように思える。消費者が電気自動車を含め、全ての自動車から選択可能であるべきだ」と述べた。
ジャッド・ディアー大統領報道官は「(カリフォルニア州政府の措置は)米国民の生活をあらゆる面で指図したいだけ。雇用喪失や消費者のコスト負担も増える。トランプ大統領が支持することはない」と批判した、と報道されている。
カリフォルニア州などは連邦政府に対し、燃費基準に関する「SAFE車両規則」を見直すよう求める訴訟も起こしており、エネルギー分野で国と各州の方針の隔たりは大きい(2020年6月2日記事参照)。
(注1)バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド電気車(PHEV)。燃料電池電気自動車、低速電気自動車は含まない。
(注2)2020年1月に、GMなど米国系メーカーやトヨタなどをメンバーとする米国自動車工業会(AAM)と、ホンダや韓国の現代自動車など外資系メーカーをメンバーとするグローバル・オートメーカーズが統合。加盟メーカーで、全米の自動車生産台数の99%を占める。
(田中三保子)
(米国)
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