2030年までに洋上風力で家庭部門を賄う方針を発表
(英国)
ロンドン発
2020年10月14日
英国のボリス・ジョンソン首相 は10月6日、オンラインで開催された与党・保守党の党大会の演説で、2030年までに洋上風力を、国内の家庭部門の供給に十分な発電量まで拡大する方針を打ち出した。
これに合わせて、英国政府は同日、2030年までに30ギガワット(GW)まで拡大するとしていた洋上風力の導入目標を、40GWへ引き上げる方針を発表。さらに新たな目標として、2030年までに浮体式洋上風力を、現在の世界導入量の15倍となる1GW導入することを目指す方針を明らかにした。北海で最も強い風が吹く深海域に風力発電設備を建設し、容量を拡大させるとしている。これで、次世代クリーンエネルギーの最前線という立場を維持したい考えだ。
2030年までに1億6,000万ポンドを投資し、イングランド北部のティーサイドやハンバー、スコットランド、ウェールズなどの港湾施設やインフラを改良し、洋上風力タービンの容量を拡大する。これにより、建設分野で2,000人の雇用を創出し、直接・間接合わせて6万人超の雇用に寄与するとした。
また、政府は、これらを含めた10項目からなる「グリーン産業革命」計画を2020年内に公表し、英国の2050年までの(温室効果ガスの)純排出ゼロ(注)の目標に貢献するとしている。
政府が9月24日に発表した2020年上半期までのエネルギー統計をみると、洋上風力の導入量は過去10年、堅調に伸び、2020年上半期までで約11.2GW(世界最大)が導入されているが(添付資料図参照)、40GWの目標までには残り10年で約4倍に拡大する必要がある。
なお、2019年の洋上風力の発電量は32.1テラワット時(TWh)となっているが、目標の40GWまで導入が進んだ場合、家庭部門の過去20年の最大需要125.7TWh(2005年)を十分上回ることができる見込みだ。
(注)人間の活動によって排出される温室効果ガス(GHG)の量を、森林などで吸収されるレベルにまで抑えること。
(宮口祐貴)
(英国)
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