日系企業、外資参入規制緩和や新型コロナ対応の改善などを建議
(中国、日本、米国)
北京発
2020年09月24日
中国日本商会は9月16日、「中国経済と日本企業2020年白書」を発刊した。白書は、中国の中央・地方政府との対話促進を目的として、中国各地の商工会組織の日系企業(法人会員8,678社)が直面する課題の分析および解決のための建議(総数513件)をまとめたもの。最前線で中国ビジネスに取り組む会員企業などの約50人が執筆に当たり、中国日本商会調査委員会(事務局:ジェトロ北京事務所)が企画・編集などの取りまとめを行った。
今回で第11版となる、同白書の主要な訴求点は前年度に引き続き「公平性の確保」に、重点分野は「投資」と「技術標準・認証」に設定された。「投資」においては、2020年1月1日から外商投資法が施行されたことを受け、細則などの関連法令の制定や外資参入規制分野の一層の開放などを要望した。具体的には、インターネットでの音楽商品の取り扱いに関する参入規制の見直しや、データセンターやクラウドサービスなど付加価値電信業務における規制緩和を求めた。
このほか、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中央政府や地方政府が実施した措置についても、改善を求めた。例えば、地方政府による措置には中央政府の指示と矛盾するものもあり、日系企業が対応に苦慮したケースがあった。白書ではこれを受け、地方政府に対し、口頭のみでの指導や伝達を避け、公文書による通知やウェブ上での公開を行うよう要望している。
「技術標準・認証」については、サイバーセキュリティ法の細則や標準などの制定プロセスにおいて外資系企業の意見を取り入れるとともに、制度の制定や運用において外国製品を差別的に取り扱うことのないよう求めた。
このほか、「政府調達」の分野では、一部の分野で、国産品であることを要件とするような動きがみられることに関する建議が盛り込まれた。具体的には、「安可(安全かつコントール可能)」または「信創(信息化応用創新)」といった名称のリストが存在し、何らかの基準を満たして同リストに掲載された製品しか政府調達において採用されないとの情報があり、政府調達対象製品に選定されるための条件や基準も開示されていないことから、白書においては、リストの存在や適用される製品の範囲、要求内容や基準の明確化を求めている。
(小宮昇平)
(中国、日本、米国)
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