米FDA、食品安全強化法(FSMA)に基づく食品トレーサビリティー規則案発表
(米国)
シカゴ発
2020年09月30日
米国食品医薬品局(FDA)は9月21日、食品事故の拡大を防止・軽減するために食品の受領者を迅速かつ効果的に特定することを目的として、「特定の食品のトレーサビリティーに関する追加的な要件に関する規則案」を公表した(注1)。
規則案は、新たに定めた「食品トレーサビリティー・リスト(FTL)」(注2)に掲げられている食品(当該食品を原料として使用した食品も含む)を製造・加工、梱包(こんぽう)、保管する者(以下「事業者」)に対して、食品流通の要所〔Critical Tracking Events(CTEs)〕で食品追跡のための重要な情報要素〔Key Data Elements(KDEs)〕(注3)を含んだ記録の作成・維持を求めるものとなっている。
また、上記に加えて、事業者には「食品トレーサビリティー・プログラム記録(Traceability Program Records)」の作成・維持が求められる。これは、事業者が実施する食品トレーサビリティーに関する取り組みをFDAが理解するためのもので、以下の情報を含む必要がある。
- KDEsを確認するための記録(船荷証券、注文書、製造ログなど)に関する説明
- 事業者が発送しているFTLに該当する食品のリスト
- 食品に割り当てるロット番号の割り当て方法に関する説明
- トレーサビリティーに関する記録を理解するために必要なその他の情報
なお、本規則案は規則の免除要件も定めている。例えば、生産額が小規模の農場や、生産が一定量に満たない殻付き卵の生産者、食品を消費者に直接販売し一定の要件を満たす事業者などは規則の対象外とされている。
本規則案は9月23日から120日間、パブリックコメントにかけられている。最終規則の公表から60日後に施行され、その2年後に上記の記録保存に関する義務が生じる予定だ。パブリックコメントはポータルサイトから提出可能。
(注1)FDAは、食品安全強化法第204条に基づき、「高リスク」食品を指定し、それらを製造・加工、梱包、保管する施設に対し、トレーサビリティーに関する記録保存を義務付けるとしていたが、これまで「高リスク」食品や保管方法の指定が行われていなかった。規則案の全文は9月23日付官報で確認可能。
(注2)FTLに掲げられている食品は、ハードチーズ以外のチーズ、殻付き卵、ナッツバター、キュウリ、ハーブ、レタスなどの葉物、メロン、トウガラシ、スプラウト、トマト、トロピカルフルーツ、カット野菜・フルーツ、魚(燻製を含む)、甲殻類、二枚貝(ホタテ貝柱は除く)、惣菜サラダ(9月21日時点)。
(注3)CTEsは、生育、受領、変形・加工、生産、発送が該当する。KDEsはCTEsに応じたものが求められるが、その例として、受領に関しては、受領元の所在地、受領場所・日時、数量・単位、輸入品に関してはエントリー番号、関連する記録(インボイス、船荷証券)などが挙げられている。
(藤本富士王)
(米国)
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