税制優遇などで集積回路・ソフトウエア産業への支援強化
(中国)
北京発
2020年09月08日
中国国務院は8月4日、「新たな時期に集積回路・ソフトウエア産業の質の高い発展を促進するための若干の政策に関する通知」を発表した。税制や融資、研究開発、輸出入など8つの政策分野の支援措置を定め、集積回路・ソフトウエア産業の高度な発展を加速させる方針を示した。
これまで、ソフトウエア開発企業や集積回路設計企業に対しては「ソフトウエア産業と集積回路(IC)産業の発展をさらに奨励するための若干の政策」に基づき、黒字化した年から2年間は企業所得税を免除し、その後3年間は税額を半減する、もしくは、黒字化した年から5年間は企業所得税を免除し、その後5年間は税額を半減するなどの税制優遇策を実施してきた。
今回発表した通知では、より高度な技術を有する企業に対し、税制面での支援などを強化した。具体的には、回路線幅が28ナノメートル以下、かつ経営期間が15年以上の集積回路生産企業に対して、黒字化した年から10年間企業所得税を免除すること、重要な集積回路設計企業とソフトウエア企業に対しては、企業所得税を5年間免除し、その後は税率10%とすることなどを盛り込んだ(2019年5月17日記事、添付資料参照)。
通知では、集積回路・ソフトウエアの研究開発体制は国を挙げて構築すると提起し、ハイエンドチップ、IC製造プロセス、重要な材料、設計ツール、基礎ソフトウエアなどの分野でコア技術のブレークスルーを果たすとした。
また、ソフトウエアの品質や安全性、開発管理などにおける国家標準(GB)の適用、ICの標準システムの整備などを通じて、競争力の向上を図るとしている。
このほか、国際協力の促進も強調した。外国のハイレベルの大学・研究機関との協力や、中国企業による国際標準化作業への積極的な参与、外国でのR&Dセンター設立を支援することで、中国のIC・ソフトウエア産業の海外進出を推進するとした。
今回の通知について、中国半導体業界協会の魏少軍副理事長(清華大学教授)は、IC産業の発展に向けた国の決意と支援の強化が反映され、同産業のエコシステムを構築する上で重要な意義を持つと評価しつつも、研究開発に関してはあまり具体的措置が示されていないと指摘し、関連部門によるより具体的な政策の策定・実施に期待を示した(「央広網」8月6日)。
(張敏)
(中国)
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