ベラルーシ大統領選、現職のルカシェンコ氏が圧勝

(ベラルーシ)

欧州ロシアCIS課

2020年08月12日

ベラルーシ大統領選挙が8月9日に実施され、現職大統領のアレクサンドル・ルカシェンコ氏が8割を超える票を得て圧勝した。

今回の大統領選挙には、ルカシェンコ氏を含め5人の候補者が立候補した。ベラルーシ中央選挙管理委員会が発表した暫定結果によると、ルカシェンコ氏の得票率は80.08%で、主要な対抗馬のスベトラーナ・ティハノフスカヤ氏は10.09%、その他の候補者は1%台にとどまった(添付資料表参照)。投票率は84.17%だった。

暫定結果の発表を受けて、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、アゼルバイジャン、アルメニア、中国、トルコ、エクアドル、ベネズエラなどの首脳から、ルカシェンコ大統領に続々と祝辞が寄せられた。CIS事務局長で選挙監視団長のセルゲイ・レベジェフ氏は「選挙は法律にのっとり実施され、透明で競争が確立されていた」と述べた(ベラルーシ大統領府発表8月10日)。

一方、この大統領選後に、選挙結果を認めない大衆による大規模デモが首都ミンスクで発生。治安部隊と衝突し、死者が発生する事態となっている(ロシア紙「コメルサント」8月11日)。西側諸国も、今回の選挙結果を批判している。米国のマイク・ポンペオ国務長官は今回の選挙について、「自由でなく、公正でなかった」と指摘。リトアニアのギターナス・ナウセーダ大統領も、欧州議会で審議して制裁を科す可能性もある、と述べている(「コメルサント」紙8月10日)。

今回の選挙戦では、当初から有力な対抗馬が排除される動きがみられた。5月にはベラルーシで有名なブロガーで反体制活動家のセルゲイ・ティハノスキー氏(注1)が拘束され、6月にはロシア大手行ガスプロムバンク子会社のベルガスプロムバンク頭取で慈善事業家のビクトル・ババリコ氏が、同行従業員による脱税や資金洗浄の容疑で刑事訴追された。

ポーランドの国立センター「ポーランド・ロシア対話と合意」のルーカシ・アダムスキー副所長は「ルカシェンコ大統領の得票率は過半を下回っている可能性がある。もし有権者の55~60%がルカシェンコ氏に投票していたのであれば大規模な抗議運動は発生していない。高齢者、治安機関職員、官僚、低学歴者、ソ連時代を懐古する人々など有権者の20~30%程度はルカシェンコ氏を支持しているが、若者は生まれた時から1人の大統領(注2)しか知らず変化を望んでいる。彼らはティハノフスカヤ氏が当選していると信じてデモに参加している」と評した(「コメルサント」紙8月10日)。

(注1)スベトラーナ・ティハノフスカヤ氏の夫。

(注2)ルカシェンコ氏は1994年以来、ベラルーシ大統領を務めている。

(齋藤寛)

(ベラルーシ)

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