小型宇宙ロケットのコンペで、南部のスタートアップ企業3社が選出
(ドイツ)
ミュンヘン発
2020年08月05日
経済・エネルギー省は7月14日、連邦政府の研究機関であるドイツ航空宇宙センター(DLR)のスタートアップ企業向け小型宇宙ロケット(マイクロランチャー)コンペで、南ドイツの3社が選ばれたと発表した。本コンペは、経済・エネルギー省とDLRが、宇宙ロケット打ち上げの商用化を目指す国内スタートアップ企業を総額2,500万ユーロで支援するもの。
今回選ばれた3社はそれぞれ50万ユーロの助成を受け、コンセプトのさらなる開発・具体化を進める。3社のうち、2021年春に実施予定のコンペを勝ち抜いた企業は、さらなる助成金と2022~2023年に2度の試験打ち上げの資格を得る。
経済・エネルギー省で、航空宇宙産業およびスタートアップ支援を担当するトーマス・ヤルゾムベク氏は今回のコンペの目的を、「小型宇宙ロケット分野で、既存の企業に加え、新たな有力企業をスタートアップ企業から生み出すこと」とした。経済・エネルギー省は、国自体が宇宙開発を進めるのではなく、同分野の商業化を進め、スタートアップ企業の技術・サービスを活用する方向にかじを切るという。
選ばれた3社は全て南部ドイツのスタートアップ企業だ。バーデン・ビュルテンベルク州に本社を持つハイインパルス・テクノロジーズ(HyImpulse Technologies)は低コスト、かつ、高い品質を維持する小型宇宙ロケットを開発。7月9日には、ニコル・ホフマイスター・クラウト・バーデン・ビュルテンベルク州経済相が同社を視察するなど、注目が集まっている。
バイエルン州に本社を持つイザールエアロスペース・テクノロジーズ(IsarAerospace Technologies)は2018年創業で、有効荷重1,000キログラムまでの小型衛星などを高度2,000キロメートル以下の低軌道に打ち上げる。同じくバイエルン州に本社を持つロケットファクトリー・アウグスブルク(Rocket Factory Augsburg)は200キログラムまでを高度700キロメートルまで打ち上げることを目指す。
ドイツ航空宇宙産業連盟(BDLI)によると、宇宙産業分野における2019年の国内企業の売上高は27億ユーロで、従業員は約1万人に上るという。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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