ルノーが再建計画を発表、過剰設備を削減、国内生産拠点の競争力を強化
(フランス)
パリ発
2020年06月04日
ルノーは5月29日、今後3年間に20億ユーロのコストを削減する再建計画を発表した。世界で1万人以上、フランス国内だけで4,600人の人員を削減。世界生産台数を400万台から2024年までに330万台に削減するほか、日産とのアライアンス強化を通じ製造に関わるコストを約8億ユーロ削減する。そのほか、工場の近代化・生産体制の効率化(およそ6億5,000万ユーロ軽減)、マーケティングなどのサポート機能の効率化(約7億ユーロ)、経営資源配分の最適化(中国事業の見直し)などがコスト削減の柱となる。
フランスは電気自動車、商用車の生産、リサイクル事業、高付加価値化イノベーションのための戦略拠点とする。具体的には北部ドゥエ工場とモブージュ工場とで電気自動車と小型商業車の一大生産拠点を構築することや、アルビーヌA110の生産を終了する北西部ディエップ工場の事業再編の検討、ルノー「ゾエ」を生産するパリ郊外のフラン工場にショワジ・ル・ロワ工場の事業を移転し循環経済のエコシステムを創設することや、ブルターニュ鋳造所の戦略見直しについて全ての利害関係者と協議を進めていく。
ルノーのジャン=ドミニーク・スナル会長は30日付「ル・モンド」紙とのインタビューで、固定費削減に向け国内外で過剰生産を削減する一方、「フランス国内に高い競争力を持つ生産拠点を再構築する方向にかじを切る」とし、「モロッコ、ルーマニア、トルコ、韓国、ロシアにおける増産計画を中止する」ほか、国内の生産能力を現在の110万台から83万台に減らす方針を示した。
特に生産能力40万台に対し8万台しか生産していない北部ドゥエ工場と稼働率が5割をやや上回るモブージュ工場の効率化に向け、地方議員や地方自治体などとの協議が急務だとした。
マクロン大統領は5月26日、ルノーに対する50億ユーロの政府保証融資はモブージュ工場の将来に関わる協議結果によると発言していたが(2020年5月28日記事参照)、6月2日にブリュノ・ルメール経済・財務相、スナール会長、労組代表、地方議員の間で行われた会合で、モブージュ工場の生産と雇用を2023年以降も保証することでルノーが合意。これを受けルメール経済・財務相は同日、ルノーに対する政府保証融資に署名する意向を示した。
(山崎あき)
(フランス)
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