議会が政府の任期後の正統性を承認

(エチオピア)

アディスアベバ発

2020年06月12日

連邦議会(上院)が6月10日に憲法解釈による政府の権能延長を決議した。これにより選挙を行わず、当面の間、連邦政府や州政府は、正統な政府として機能し続ける。8月29日に予定していた選挙は新型コロナウイルスの影響で準備か進められず、延期を決定済み(2020年4月15日記事参照)。新たな選挙日程は未定だが、新型コロナウイルス感染症が落ち着き、科学的な見地から公衆衛生上の脅威がなくなったとの勧告を議会が認めた上で選挙準備に入る。選挙は準備を始めて9~12カ月以内に実施する(国営メディアFANA6月10日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

今回の決定は政党間の意見の対立を浮き彫りにした。旧与党連合の一角をなした「ティグライ人民解放戦線(TPLF)」は現行政府の多数派となった繁栄党に唯一合流していないが、選挙を憲法解釈によって延長することに反対の立場だ。10日の議会で反対(25票)に投じたのも主に同党の議員だとされる(フォーチュン」紙6月10日)。TPLFは憲法の解釈に委ねること自体に反対の立場で、TPLFが与党である北部ティグライ州では独自に選挙を実施する考えを示している。

ほかには、次回選挙での議席獲得を目指して活動している野党の中で、影響力が高いとみられる「社会正義を求めるエチオピア市民(The Ethiopian Citizens for Social Justice)」は、憲法の修正を支持していた。また、米国から帰国し、オロミア州の青年層を中心に人気が高い、有力者ジャワル・モハメド氏が所属意思を表明している「オロモ連邦会議(Oromo Federalist Congress)」が現行の政府体制の解体と暫定移行政府の設置を主張していた。

国内の新型コロナウイルス感染確認者数は累計2,506人(6月10日時点)。同日の新規確認者数は170人だった。

(関隆夫)

(エチオピア)

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