英国への入国者に14日間の自己隔離を義務付け、6月8日から

(英国)

ロンドン発

2020年05月25日

新型コロナウイルスへの対策をめぐり内務省は5月22日、英国への入国者に対して14日間の自己隔離などを求める新たな水際対策外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。6月8日から実施し、3週間ごとに見直す。違反者には罰金を科すなど、厳しく対応する。

政府は1月下旬から3月上旬にかけ、中国など感染拡大国・地域を訪問した入国者に対して、感染リスクに応じた勧告を発出していた(2020年3月4日記事参照)。しかしその後に国内でも感染が拡大したため、高熱や継続的なせきの症状がある場合は感染拡大地域への渡航の有無にかかわらず自己隔離を要請することに転換(2020年3月16日記事参照)。国・地域ごとの勧告は3月13日に取り下げていた。国内での新規感染者が減少を続けていることを受け、政府は輸入感染阻止のため、再び水際対策を導入する。

新たな対策では、入国者に連絡先や滞在先を所定の電子フォームで申告させる。入国後は14日間の自己隔離を義務付け、ホテルや家族・知人宅など指定要件を満たす滞在先がない渡航者は、政府が手配する施設で自己隔離する。滞在先までは可能な限り自家用車など個人の交通手段で移動するよう求め、自己隔離中は外出や公共交通機関・タクシーの利用も認めない。さらに6月にも供用開始予定の感染者追跡アプリの使用を推奨する。

イングランドでは滞在先などの申告を怠った入国者には、100ポンドの罰金、自己隔離義務に違反した場合は1,000ポンドの罰金か、訴追と上限なしの罰金が科される可能性がある。イングランド以外での罰則は、各自治政府が決定する。違反した外国人は、入国拒否や強制退去となる可能性もある。

フランスが対抗措置、航空業界は強く反発

水際対策の導入をめぐっては、新型ウイルス感染の治療や経済活動の妨げになるとの懸念も聞かれていた。政府はこれを受け、自己隔離などを免除される入国者の一覧外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公開。物流・運輸関係者や医療専門家のほか、交通・水道・通信など日常生活に不可欠なサービスに関する緊急用務などに従事する入国者などを義務の対象から外している。アイルランドなど共通旅行区域(CTA)構成国・地域からの入国者も免除されている。

政府はさらに、感染率が低い国々との間で出国時の検査対策を相互承認し、入国後の自己隔離を免除する方策を検討するとしている。しかし、先に協議したフランスは、同国からの渡航者も隔離対象とされたことに対抗し、英国が同措置を開始する6月8日からは、英国からの渡航者には国籍に関わらず14日間自己隔離することを求める考えだ(5月22日付フランス政府発表参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、水際対策の導入に反対していた航空業界なども反発を強めている。

(宮崎拓)

(英国)

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