2020年第1四半期の新車販売、新型コロナウイルスの影響を受けて前年同期比12.4%減
(米国)
ニューヨーク発
2020年04月09日
モーターインテリジェンスの発表(4月1日)によると、米国の2020年第1四半期(1~3月)の新車販売台数は、前年同期比12.4%減の350万7,920台だった。第1四半期としては、リーマン・ショックの影響で大幅に落ち込んだ2009年(38.4%減)以降、最大の減少率となった。
コロナウイルスの影響で販売店が営業停止
新車販売台数の落ち込みは、2020年1月末から米国で拡大している新型コロナウイルス感染が大きく影響した。特に3月中旬以降、感染拡大を防ぐため、必要不可欠でない事業の停止や外出自粛を呼びかける州が増えたことで、新車購入の機会が大きく制限された。調査会社IHSマークイットの調べによると、3月20日に自動車販売店を含む店舗の営業停止が州知事によって発令されたニューヨーク州では、3月第4週の車両の登録台数が前の週に比べて85%減少した。また、その他登録車数上位の州(注)では、カリフォルニア州で78%減、テキサス州で43%減、フロリダ州で16%減と、いずれも大幅に減少した。
販売台数の変化を部門別にみると、乗用車が前年同期比23.7%減の93万3,413台、小型トラックが7.5%減の257万4,507となった(表1参照)。乗用車の販売台数は、データが確認できる1980年以降、四半期として最も低い値となり、初めて100万台を下回った。また小型トラックは、人気のクロスオーバーSUV(CUV)を含むスポーツ多目的車(SUV)が、2009年第3四半期以来、初めて前年同期比で減少した。
主要メーカー別では、起亜を除きいずれもマイナスとなった。中でも、日産は前年同期比29.6%減と大幅に減少、ホンダ、スバルがそれぞれ19.2%減、16.7%減と落ち込んだ。一方、起亜は中型SUVの「テルライド」が前年同期比で3.1倍となり全体を押し上げた(表2参照)。
自動車調査会社は2020年販売予測を下方修正
新型コロナウイルスの影響拡大を受けて、自動車調査会社は年初に発表した2020年の年間販売予測を見直している。自動車関連調査会社のALGは、5月1日時点で移動制限が解除され、政府による刺激策が奏功した場合の年間販売台数は1,530万台、さらに生産停止による供給の混乱などが加わった場合には1,320万台、最も厳しいシナリオとして移動制限が夏の間も続き、年末まで失業者が増加した場合には1,120万台にまで落ち込むとし、当初の予測である1,690万台から大幅に下方修正した(3月23日)。また、IHSマークイットは、金融政策や財政措置は自動車市場での需要の低迷を救うにはおそらく不十分との見方から、2020年の年間販売台数は1,440万台になると予測している(3月25日)。
(注)全米自動車ディーラー協会(NADA)が発表した、2018年の州別新車登録数のデータに基づく。
(大原典子)
(米国)
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