米中小企業庁、新型コロナウイルス関連融資プログラムの新規受付を停止、財源枯渇を受け
(米国)
ニューヨーク発
2020年04月17日
米国中小企業庁(SBA)は4月16日、新型コロナウイルス対策として提供していた融資プログラムである給与保護プログラム(PPP)と経済的損害災害融資(EIDL)について、財源枯渇を理由に新規受付の停止を表明した。米連邦議会では共和党と民主党の間で、第4弾の新型コロナウイルス対策法案として同プログラムへの追加財源の投入が議論されているが、16日現在、折り合いがついていない。
PPPやEIDLなどの支援措置には、第3弾の新型コロナウイルス対策法として3月27日に成立した「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security)法」(2020年3月30日記事参照)の中で約3,770億ドルが充てられていた。しかし、対象となる中小企業からの申し込みが殺到し予算の上限に達したため、SBAはウェブページ(注)で、現時点では新規申し込みを受け付けられないと表明した。既に申し込み済みのEIDLについては、申し込み順に審査を継続するとしている。
トランプ政権と米議会はこうした事態を想定して、第4弾として中小企業支援向けの財源を追加する法案について議論を進めてきた。しかし、トランプ政権と議会共和党がPPPに特化して2,510億ドルを補填(ほてん)する内容の法案を提示する一方、議会民主党はその財源の一部を地方の金融機関を通じて小規模事業者にも回るよう制度を改変するとともに、被害の大きい州・自治体政府、病院に新規の資金を注入する提案をしており、議論は並行線をたどっている。
共和党のミッチ・マコーネル上院院内総務(ケンタッキー州)は4月15日、「PPPにおける民主党の誤り:これは起きる必要がなかったこと」と題した声明で民主党を批判し、トランプ大統領も4月16日に、民主党は「米国の小規模事業者を見殺しにしている」とツイッターで民主党を批判した。一方、民主党のナンシー・ペロシ下院議長は15日、民主党が求める点を列挙した上で、「これら重要な課題に対処していない共和党の法案は下院で賛同を得ることはできない」との声明を出しており、合意の見通しは立っていない。
(注)PPPとEIDLについては下記のページを参照。いずれも冒頭で財源枯渇を表明している。
- PPP:https://www.sba.gov/funding-programs/loans/coronavirus-relief-options/paycheck-protection-program-ppp
- EIDL:https://www.sba.gov/disaster-assistance/coronavirus-covid-19
(磯部真一)
(米国)
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