米小売店の臨時閉鎖が相次ぐ、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け
(米国)
ニューヨーク発
2020年03月24日
新型コロナウイルスの感染拡大抑制に向けて、米国では小売業者による実店舗の臨時閉鎖や営業時間の短縮を発表する小売各社が相次いでいる。
例えば、大手スポーツ用品メーカーのナイキ(本社:オレゴン州ビーバートン市)は3月15日、欧州やカナダなどに加えて、米国内の全384店舗を3月16~27日まで臨時閉鎖すると発表した。同社は実店舗を一時的に閉鎖するものの、通販サイトやアプリを通じた販売は継続し、またアジア地域の拠点は通常通り営業するとしている。また声明文を通じて「従業員や顧客の安全性を第一に考えており、感染拡大の防止に向けて店舗を閉鎖することを決定した」と今回の決定に至った背景を述べた。
同じような動きは他の小売業者の間でも相次いでおり、店舗の臨時閉鎖や営業時間の短縮と通販サイトの運営継続を発表する企業が増えている。また多くの企業が従業員向けに在宅勤務の選択肢を用意し、利用を奨励しているほか、時給制労働者に対しては有給休暇制度を適用するところが多い。米商社サスケハナのシニアアナリストであるサム・ポーザー氏は、「残念ながら、(感染拡大を防ぐためには)とても必要な決定だ」と指摘するとともに、「数日間のビジネス継続は、人々の健康、従業員・顧客の健康、企業ブランドに対する評判にとってどれだけ重要だろうか」と述べた(CNN誌3月15日)。
また、アップルは3月27日まで中華圏以外の店舗の営業を停止、小売り大手ウォルマートは、15日から時短営業を行うなど各社で取り組みが行われている。
一方で、生活必需品を扱う食料品店や薬局は営業を継続し、消費者が殺到している。全米小売業協会(NRF)は3月15日のプレスリリースで、小売業者の中でも特に食料品店は、メーカーやサプライヤー、行政機関と協力しながら、生活に不可欠な製品やサービスがすぐに利用できるよう、24時間体制で消費者の需要に応えており、買いだめや必要以上の備蓄は控えるよう忠告している。NRFの会長兼最高経営責任者(CEO)のマシュー・シェイ氏らは、真に必要な商品が欲しい時に手に入るようにすることは「特に(重症化リスクの高い)高齢者や既往症のある人たちにとって重要」であり、各消費者が「責任を持って買い物を行い、ウイルスの感染拡大を防ぐ方法についての(政府からの)重要な指示に従うことで、この課題にうまく対処できる」と述べた。
(樫葉さくら)
(米国)
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