米国で3月第3週の新規失業保険申請件数が328万件に、既往最高値を記録
(米国)
ニューヨーク発
2020年03月27日
米国労働省の3月26日の発表によると、3月第3週(3月15日~21日)の新規失業保険申請件数(季節調整値、注1)は328万3,000件に達した。約2年半ぶりの高水準となった前週(28万2,000件)からさらに300万1,000件増え、11.6倍となった。(添付資料の図参照)。第2次石油危機後の1982年9月26日~10月2日の週(69万5,000件)に記録した最高値を大幅に上回る既往最高水準だ。なお、3月第2週(8~14日)の新規失業保険申請件数は28万1,000件(速報値)から28万2,000件に更新された。
州別(注2)の申請件数をみると、ペンシルバニア州(37万8,908件)、オハイオ州(18万7,784件)、カリフォルニア州(18万6,809件)などが多かった(添付資料の表参照)。前週からの増加件数をみると、ペンシルバニア州(36万3,469件増)、オハイオ州(18万738件増)、ニュージャージー州(14万5,987件増)などが多かった。労働省のプレスリリースによると、ほとんど全ての州が新型コロナウイルスの感染拡大によるレイオフの増加を要因として挙げており、前週に続いてサービス関連の幅広い業種、特に宿泊施設・食品サービスなどが多かったとしている。また、感染拡大の直接的な影響を受けたかはわからないが、ヘルスケア・社会支援、芸術、娯楽・レクリエーション、運輸・倉庫、製造業でもレイオフが増加したとみられる。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの米国担当チーフエコノミスト、ミシェル・メイヤー氏は、これらは今回の「景気後退の深刻さと速さ」を表す結果であり、「ショックが倍増していくまでに時間のあった前回の景気後退時に比べて急激な落ち込み」であることから、「今後数週間は高水準(の申請件数)が続くかもしれない」と指摘した(ブルームバーグ3月27日)。
(注1)当該件数は、労働者が離職した後に初めて失業保険給付を申請した件数を週ごとに集計したもの。毎月初めに公表される雇用統計(失業率や雇用増加数など)よりも、いち早く米国内の雇用情勢変化を捉えることができる指標として注目されている。毎週木曜日に前週分が公表される。
(注2)州別の値は非季節調整値のみが公表されている。全体の非季節調整値は、前週(25万1,416件)から264万7,034件増(11.5倍)の289万8,450件であった。
(権田直)
(米国)
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