英国政府、新型コロナ受け3,500億ポンド超の大型追加経済対策を発表

(英国)

ロンドン発

2020年03月18日

英国政府は3月17日、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響を緩和するため、3月11日の2020年度(2020年4月~2021年3月)予算案に盛り込んだ経済対策(2020年3月18日記事参照)に続く、総額3,500億ポンド(約45.5兆円、1ポンド=約130円)を超える大型経済対策を打ち出した。概要は以下のとおり。

銀行融資に対する政府保証(3,300億ポンド/GDP比15%)

大企業向け:イングランド銀行が、満期最長1年のコマーシャルペーパー(CP、約束手形)を買い入れ。

中小企業向け:国営英国ビジネス銀行の8割保証による銀行借入の上限を、1事業者あたり120万ポンドから500万ポンドに拡充。さらに最初の6カ月間の利子を政府が肩代わり。

さらに航空部門(航空会社、空港保有・運営会社)など、感染症による影響が深刻な業種向けの特別支援を導入予定。

減税・助成金による直接支援(200億ポンド)

イングランドの小売・観光・娯楽業の全事業者に対し、12カ月間、事業税(ビジネスレート)を全額免除。

同税課税評価額5万1,000ポンド未満の小売・観光・娯楽事業者に対し、1社あたり最大2万5,000ポンドの助成金を給付。

既に同税の減免措置を受けている小規模事業者(約70万社)への助成金を、1社あたり3,000ポンドから1万ポンドに増額。

家計向け支援

最長3カ月の住宅ローン支払い猶予など。詳細は近日中に公表予定。

追加経済対策を発表したリシ・スーナック財務相は、「今日打ち出した介入策は、あらゆる規模の企業を支援するものだ」とコメント。中小企業向けが主だった前週の経済対策第1弾とは異なり、大企業向けにも実質的に際限なく保証を提供することで金融不安の誘発を防ぐとともに、イングランド銀行のCP買い入れを通じた流動性(資金)の追加供給により、中小企業の資金アクセスの断絶を防ぐ。

英国産業連盟(CBI)のキャロライン・フェアバーン事務局長は同日、追加経済対策について声明で、「今日の政府保証の大規模増、助成金の引き上げ、一部業種への事業税免除の拡充は、企業が雇用と事業を維持することに有益」とコメント。英国商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル事務局長も声明で、「これらの対策は、大規模な混乱の中にある全国の多数の事業者の命綱になり得る」と述べ、対策を評価している。同時に両氏は、これら施策を速やかに実施することが重要だと指摘し、迅速で確実な実行を求めている。

(アダオラ・キング、宮崎拓)

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