新型コロナウイルス、米国で初のヒトからヒトへの感染を確認
(米国)
シカゴ発
2020年02月03日
米国イリノイ州公衆衛生局(IDPH)およびシカゴ市公衆衛生局は1月30日、米国で初となるヒトからヒトへの新型コロナウイルスの感染を確認したと発表した。今回感染が確認されたのは、1月24日に米国で2例目かつイリノイ州初の感染者として発表された女性の配偶者。先に感染が確認された女性は、シカゴ・オヘア国際空港において中国武漢市からの旅行者に対する健康状態の確認が強化された1月23日以前に、武漢市から米国へ帰国していた。
今回感染が確認された配偶者の男性は、直近で米国外への旅行歴がないものの、先に感染が確認された女性と接していた。IDPHのディレクターで医師のンゴジ・エザイク氏は「新型コロナウイルスの州内一般市民への感染リスクは低い。シカゴ市やイリノイ州、連邦政府は既に判明した感染者と濃厚接触をした人の特定を進めており、さらなる感染拡大の防止に努めている」と話した。
シカゴは米国最大の物流拠点の1つで、「クレーンズ・シカゴ・ビジネス」紙(電子版1月28日)は、中国政府によるさらなる同国への出入りを制限する措置により、貿易活動や製造業に影響を及ぼすのは時間の問題かもしれない、と報じている。中国政府は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、既に春節(旧正月)の連休を2月2日まで延長し、また、上海市や広東省などの地域では企業の操業開始のさらなる延長も発表されており(2020年1月31日記事参照)、このまま企業活動停止が長期化すれば、中国から米国への貨物輸送が影響を受ける。ロヨラ大学シカゴ・クインラン・ビジネススクールの情報システムおよびサプライチェーン管理部門の准教授、マイケル・ヒューイット氏は「事態が悪化した場合、米国の店舗から製品がなくなり、価格が大幅に上昇するだろう」と指摘する。
CNN(1月28日)によると、米国でサージカルマスクへの需要が急激に高まっているものの、一般市民がマスクを着用する必要はないという専門家の話を報じている。ジェトロが確認したところによると、シカゴ市中心部の複数のドラッグストアで不織布マスクが売り切れるなど、マスクが品薄状態となっていた。
また、シカゴに本社を置くユナイテッド航空は、既に複数の米中間航路の運航停止を発表している(2020年1月30日記事参照)。
(飯田桃子)
(米国)
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