米連邦政府、完全無人の自動運転車両の公道利用を初めて承認
(米国)
ニューヨーク発
2020年02月27日
米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2月6日、自動運転車(AV)の新興メーカーNURO(ニューロ)が開発する無人AV「R2」に関し、向こう2年間で5,000台に限り、連邦政府の定める自動車安全基準(FMVSS)が義務付ける一部要件の適用を暫定的に免除し、公道走行が可能な車両として認めると発表した。連邦政府が無人での自動走行を前提とした車両の公道利用を認めたのは今回が初めてとなる。
「R2」は、一定の条件の下で自動運転システム(ADS)が操作、制御を行い、運転手を必要としない自動化レベル4(注)に当たるAV。時速25マイル(約40キロ)以下で走行するため、FMVSSの下では低速車(LSV)に分類される。
米国では、AVの安全基準に関する明確な基準は定められていないが、車両基準に関しては通常の乗用自動車に適用されるFMVSSを順守しなければいけない。NUROは、LSVに義務付けられている(1)車内外のミラーと(2)リアカメラに関しては「R2」に搭載されているADSがその機能を代替し、(3)フロントガラスに関しては乗客を前提としていないとして、設置義務の免除を求めていた。NHTSAはこれに対し、「運転手の乗車を前提としない低速のAVは、従来の車両に必要な一定の設備は不要」(運輸省のエレイン・チャオ長官、2月6日)と判断した上で、今回の免除で車両の安全性のレベルが低下することはなく、低公害車の開発や実地評価を促進するといった根拠などから、NUROの要請を受け入れた。
NUROの共同創始者のデイブ・ファーガソン氏は「運転手や乗客のいない自動車を想定していない既存の規制を現代化し、安全な車両での自動化技術の試験や導入ができるよう業界を挙げて取り組まないといけない」と述べた。(ミディアム・コム2月7日)。同社は今後、AVの公道走行が認められているテキサス州ヒューストン市において、小売店やレストランと提携し、食品や雑貨などの配送サービスを展開する予定だ。
(注)Society of Automotive Engineers(SAE)による自動化レベル。レベル0から5までの6段階に分かれる。レベル4では、一定の条件の下、ドライバーによる運転を前提としていない自動運転システムが操作を行う。
(大原典子)
(米国)
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