米中経済・貿易協定の第1弾が2月14日発効、双方が追加関税の一部削減
(米国)
ニューヨーク発
2020年02月21日
米中経済・貿易協定の第1弾が2月14日に発効した。トランプ米国大統領と劉鶴・中国副首相が1月15日に同協定に署名し、協定の内容が公表されていた(注)。米国通商代表部(USTR)は発効に伴い、2月14日に協定の運用状況を評価し、紛争解決を担当する「2国間評価・紛争解決室」の新設を発表した。また、発効を受けて、米中双方は2019年9月1日に発動していた追加関税第4弾の税率を引き下げた。
3つの階層で紛争を解決
USTRのプレスリリースによると、ジェフリー・ゲリッシュ次席代表が「2国間評価・紛争解決室」を率いる。米中経済・貿易協定の第7章「2国間評価と紛争解決」によると、米中は3つの階層で定期的に会合を持ち、協定の運用状況に関して意見交換を行うことになっている。階層ごとの会合は、事務方で月次、次官級で四半期ごと、閣僚級では半期ごととなっている。
両国は紛争解決に関してもこの3つの階層に基づき処理を進めていく。解決を要する問題が発生した場合、訴える側の「2国間評価・紛争解決室」から相手側に正式な訴えを提出する。その後、まずは事務方レベルで協議を行い、そこで解決しなかった場合、順に次官級レベル、閣僚級レベルで協議を進める。協議で解決に至らない場合、訴えた側は事前に通知した上で、損害に見合った手段(proportionate responsive action)を講じることができる。協定では、紛争解決処理にかかる期間を約90日間としている。
また、紛争解決処理とは別途で、経済問題全般について議論するマクロ経済会議を米財務長官と中国副首相の下で定期的に開催するとしている。
協定発効に伴い、米中双方が互いに課していた追加関税の一部を削減した。米国は、2019年9月1日に発動した中国原産の輸入品1,114億ドル相当(3,243品目)(2019年8月26日記事参照)に対する追加関税率を、2月14日に15%から7.5%に半減させた。中国も、対抗措置の第4弾として2019年9月1日に発動した米国原産の輸入品750億ドル相当(1,717品目)に対する10%もしくは5%の追加関税率を、それぞれ5%と2.5%に半減させた(2020年2月7日記事参照)。
(注)米中経済・貿易協定の概要については2020年1月16日記事と2020年1月17日記事を参照。
(磯部真一)
(米国)
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