最高裁、ジョンソン首相による議会閉会を違法と判断

(英国)

ロンドン発

2019年09月25日

英国最高裁判所は9月24日、ボリス・ジョンソン首相による英国議会閉会を違法とする判断を示した。ジョンソン首相は8月28日にエリザベス女王の承認を得て、5週間の議会閉会を決定し、10月14日に再開される予定となっていた(2019年9月10日記事参照)。議会閉会をめぐっては、実業家のジーナ・ミラー氏が違法とする訴訟をロンドンの高等法院で起こし、超党派の議員75人もスコットランドの民事控訴院で同様の訴えを起こしていた。ロンドンの高等法院は、政治的な問題であり、裁判所で判断すべきではないとしながらも、最高裁への上訴を否定せず、スコットランドの民事控訴院は議会閉会の決定を違法とする判断を示し、政府が最高裁へ上訴していた。

最高裁での司法審査は3日間の政府や原告団に対する審問を経て判断した。それによると、政府が女王に議会の閉会を諮問する決定をしたことは、議会が憲法上の機能を実行することを合理的な理由なしに妨げる影響を与えたことから、違法で無効だとしており、11人の判事全員一致での決定とした。

ジョンソン首相は「判断は順守する」と発言しており、議会は9月25日から再開されることとなった。ただし、毎週水曜日に下院である首相への公開質問は行われない見通し。25日まで開催される野党・労働党の党大会では、ジェレミー・コービン党首がジョンソン首相は英国を誤った方向へ導いていると批判するなど、野党から首相辞任を求める声が上がっており、議会再開後にジョンソン首相は強い逆風にさらされることになる。

(木下裕之)

(英国)

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