ブレグジットに備え、未登録企業にEORI番号を割り当て
(英国)
ロンドン発
2019年08月22日
歳入関税庁(HMRC)は8月21日、英国のEU離脱(ブレグジット)後の貿易に備え、付加価値税(VAT)登録済みで、EORI(Economic Operators Registration and Identification)番号未登録の企業約8万8,000社に、同番号を自動的に割り当てることを発表した。
EORI番号は、英国を含むEU域内の事業者がEU域外との輸出入を行う際に必要となる識別番号だ。英国がEUとの間でなんらの合意なく(ノー・ディールで)EUから離脱する場合、英国で輸出入(モノが英国国境を越える取引)を行う事業者は英国で発行されたEORI(UK EORI)番号を政府のウェブサイトで取得する必要があるが、今後2週間以内に自動割り当てされたEORI番号を記載した文書が企業に通達されることになる。
サジード・ジャビド財務相はこの発表の中で、ブレグジットに向けて猶予となる時間がないことがHMRCによるEORI番号割り当ての背景にあるとしている。ただし、ノー・ディール時には、英国はEUにとって第三国となるため、EUとの間で輸出入を行う(モノが取引先となるEU加盟国の国境を越える)場合には、その貿易相手となるEU加盟国で発行されたEORI番号も取得しなければならない。
また、政府は同日、900万ポンド(約11億7,000万円、1ポンド=約130円)を地方エリアや主要な港湾に割り当てることも発表した。これは、政府が7月に発表した21億ポンドのブレグジット対策追加予算(2019年8月5日記事参照)の一環。900万ポンドのうち、500万ポンドは主要な港湾、空港などを持つ地方自治体に与えられる。また、残る400万ポンドはイングランド内の地方公共サービス運営者の代表で構成される地方レジリエンスフォーラム(LRFs)に拠出される。ブレグジット対策の計画策定や、追加職員の増強などの対策が使途とされている。具体的な拠出先としては、地方自治体向けの500万ポンドについては半分強となる260万ポンドが、ドーバー港やユーロトンネルなど輸送の要衝を抱えるイングランド南東部のケント州に与えられる。
(木下裕之)
(英国)
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