既存の労働協約の適法化プロセスに関する規約を官報公示
(メキシコ)
メキシコ発
2019年08月05日
メキシコ労働社会保障省(STPS)は7月31日、5月2日に施行された改正連邦労働法の第390条TERと付則第11条に基づき、既存の労働協約の見直しに関する規約を官報公示した。翌日から適用され、今後新設される連邦調停労働登録センター(CFCRL)の業務開始までの暫定措置となる。上記改正の付則第11条は、既存の労働協約が職場の過半数の従業員の投票により承認されなければ失効することを規定しており、今回の規約で承認(適法化)プロセスを暫定的に定めた。重要な内容は次のとおり。
- 組合は最低10日前までに専用ウェブサイトから労働協約見直しの投票実施をSTPSに通知する。
- 通知には規約第3号に規定された、a.組合組織、b.雇用主、c.労働協約、d.投票の日時・場所・立会人のそれぞれに関する情報が必要。
- 組合は、組合の登記上の代表者名(Secretario General)で、組合員に投票日の最低10日前までに投票実施を通知する。通知後、直ちに雇用主にその旨を連絡し、雇用主は投票の最低3日前までに既存の労働協約のコピーを全労働者に配布する必要がある。配布を怠り、組合が代替して配布した場合、雇用主は罰金の対象となる可能性がある。組合はSTPSの所定サイトから所定の投票用紙や集計用紙を印刷し利用する。
- 投票は事前に指定された日時と場所で、組合員の自由、個別、内容の非公開が保障される方法で、公証人またはSTPSの査察官の立ち会いの下で実施する。
- 組合執行部は投票結果を職場に掲示し、投票後3日以内にSTPSに結果を電子化して通知する。結果通知には、規約第9号bのi)~vi)の情報、集計用紙と実際に投票した労働者のリスト、それらを5年間保管するという組合の宣誓文書を添付する。
- 結果通知後20営業日以内にSTPSから追加情報要求などがない場合、労働協約は適法化されたと見なされ、組合はSTPSに適法化確認書(constancia de legitimación)の発行を要求できる。
- 協約見直しで労働者の過半数の承認が得られなかった場合、同協約は失効するが、協約が定めていた福利厚生や労働条件(労働法を上回る待遇)は保障される。
必ず4年以内に適法化を
改正労働法では、改正施行日(5月2日)から4年間で1度も現行の労働協約が見直しされない場合は、新たな労働協約の締結を求めた外部の労働組合からのスト予告が受理されてしまう可能性がある。2023年5月1日までに協約適法化プロセスを完了させておく必要がある(2019年5月7日記事参照)。
(中畑貴雄)
(メキシコ)
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