在中国EU商工会議所、外商投資ネガティブリスト改定を評価も、一層の改革要請
(EU、中国)
ブリュッセル発
2019年07月04日
中国に進出した欧州企業で構成される在中国EU商工会議所(EUCCC、会員企業数:約1,600社)は7月1日の声明で、中国政府が公布した外商投資ネガティブリストの改定(2019年7月2日記事参照)を歓迎する一方、中国のさらなる構造改革と行政改革の必要性を指摘した。
課題は間接的な市場参入障壁に移る
EUCCCは今回の声明に併せて、外商投資ネガティブリストの2018年版と2019年版の項目ごとの差異を明らかにする「比較表」を作成。産業・事業分野別の改正内容を整理した。
EUCCCはこの結果ついて「小幅な改正」と総括したが、中国の経済開放の新たなステップとして評価するとの認識を示した。特に、特定事業分野における中国側の過半数出資を求める規定(外国資本規制)の撤廃については、欧州企業が中国市場に参入・拠点展開をする新たな機会を創出する潜在性があると期待感を示した。
ただし、EUCCCは、こうした開放政策を意味あるものにするためには、一層の構造改革、行政改革が求められると指摘。5月20日に公表した「景況感調査報告書(2019年版)」(2019年5月22日記事参照)のアンケート結果を引用し、直近の調査時点で「(外商投資ネガティブリストなどを含めて中国で)直接的な市場参入障壁に直面している」と回答したEUCCC会員企業は全体の15%にとどまるが、むしろ、「行政当局の複雑な審査プロセス」や「事業許認可取得の困難性」などといった「間接的な市場参入障壁に直面している」と回答した会員企業が30%に達していることを問題視している。
EUCCCの発表によると、こうした中国における市場参入障壁の影響で、会員企業の約3分の1は「逸失した売上高(2018年)が10~25%に及ぶ」と回答、さらに13%が「(同)25%以上に及ぶ」とした。EUCCCのヨルク・ブットケ会頭は中国のビジネス環境について、「20年前に中国がWTO加盟を果たした当時に比肩する、大幅で補完的な改革に期待している」とコメントし、「曖昧なルール」「矛盾する法令」「(中国の)国営企業の優遇」「外国資本に対する不平等な待遇」などの撤廃を求めた。
(前田篤穂)
(EU、中国)
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