IMD世界競争力ランキングでスイスが4位に挽回

(スイス)

ジュネーブ発

2019年06月04日

スイスの国際経営開発研究所(IMD)が5月28日付で発表した世界競争力ランキング2019によると、スイスは前年より順位を1つ上げ4位となった。日本は前年の25位から30位へと後退した。

首位はシンガポールで、2010年に本ランキングを開始して以来、初めてのこととなる。これは、同国の先進的な技術基盤、労働力の技能、移民に寛容な法制度、新規事業立ち上げのための手続きの効率性が評価されたことによる。2位は香港で、前年1位だった米国は3位に後退した。

スイスは、同ランキングで2017年まで世界2位の座を確保してきたが、スイス・フラン高の影響から輸出産業が打撃を受けたことなどにより2018年に世界5位まで後退しており、今年1つ挽回したことになる。評価指標の内訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)をみると、欧州経済の影響を受けやすい国内経済のパフォーマンスが相対的に低い評価を受けたものの、今回もインフラや政府の効率性では高い評価を得られている。2018年11月にIMDが発表した世界技能ランキング2018では世界1位にランクインしている。IMD世界競争力センター所長を務めるアルトゥロ・ブリス教授は、スイスの圧倒的な強みは政治や治安などの安定性だと、5月28日付「ラジェフィ」誌のインタビューでコメントしている。同氏はまた、スイスは欧州の中では、オランダと投資誘致面での環境整備を競っており、最も競争力がある国と評価されている一方で、ほとんどのタクシーでクレジットカードが使えないなど、国民の技術に対する保守的な姿勢があり、デジタル技術の導入やグローバル化への対応で、シンガポールや香港に後れを取った面があるのではないか、との意見を紹介している。

日本は30位に後退、ビジネス環境改善に向けた努力が必要に

これに対し、日本は経済の停滞、政府債務およびビジネス環境の悪化により、順位を大きく落とす結果となった。過去最高の5位に順位を上げた、2018年10月発表の世界経済フォーラムの世界競争力ランキング(2018)とは対照的だ。今回発表されたIMDのランキングでは、デジタルトランスフォーメーション、ビッグデータの活用などで高い評価が得られておらず、今後、本ランキングで高い順位を目指すためには、特にビジネス環境改善に向けた努力が必要となるだろう。

(和田恭)

(スイス)

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