保守党党首選、ジョンソン氏とハント氏の新旧外相が決選投票へ
(英国)
ロンドン発
2019年06月21日
英国のテレーザ・メイ首相が6月7日に保守党の党首を辞任したことを受けて始まった同党の党首選挙は20日、党所属下院議員による4回目と5回目の投票が行われた。その結果、ボリス・ジョンソン前外相とジェレミー・ハント外相の2人が勝ち残り、約16万人の党員による決選投票に進むことが決まった。
党首選には、10人の議員が立候補した。決選投票に進む2人を絞り込む議員投票は6月13日に始まり、2回目は18日、3回目は19日に行われた。その間、一貫して、ジョンソン前外相が大差で首位を独走している(表参照)。党首選の最大の争点である英国のEU離脱(ブレグジット)については、強硬派の代表格ジェイコブ・リースモグ議員、イアン・ダンカン・スミス元党首らの支持を受け、EUとの合意の有無にかかわらず、現時点での離脱期限である10月31日に必ず離脱すると主張。ジョンソン前外相は英紙「ザ・サンデー・タイムズ」(電子版6月9日)のインタビューに対し、アイルランド・北アイルランド間の国境問題をめぐる安全策(バックストップ)に関する規定を、離脱協定から取り除くことにEUが合意しなければ、約390億ポンド(約5兆3,040億円、1ポンド=約136円)の清算金は支払わない、などと主張していた。
ジョンソン前外相に続く2位、3位は、ハント外相とマイケル・ゴーブ環境相が接戦を繰り広げた。いずれも、離脱期限をさらに延長することに含みを持たせるなど、前外相とは細部で異なるが、合意なき離脱(ノー・ディール)も辞さない姿勢は同じだ。最後には、穏健派のアンバー・ラッド労働・年金相や強硬派のペニー・モーダント国防相ら幅広い支持を取り付けたハント外相が、わずか2票差でゴーブ環境相を退けた。
EUが一貫して否定する離脱協定の再交渉を主張する他候補を批判し、ジョンソン前外相の対抗馬になるかと一時注目が高まったローリー・スチュワート国際開発相は、予想されたほど支持が伸びず、3回目の投票で脱落した。それまでに脱落したアンドレア・レッドソム前下院院内総務、エスター・マクベイ前労働・年金相、ドミニク・ラーブ前EU離脱相、2回目の投票を前に撤退したマット・ハンコック保健相らがジョンソン前外相支持に転じたほか、中間派議員の支持獲得も狙った前外相が発言を軟化させてきたことも、最後まで得票を上積みすることにつながった。
党員投票は7月上旬から郵送で行われ、勝者は7月22日の週に明らかになる。草の根の党員からも支持が厚いジョンソン前外相の優位は固く、ハント外相はテレビ討論会や各地での遊説で逆転に望みをつなぐ。
(宮崎拓)
(英国)
ビジネス短信 fc3c402d5619460d
ご質問・お問い合わせ
ビジネス短信の詳細検索等のご利用について
メンバーズ・サービスデスク(会員サービス班)
E-mail:jmember@jetro.go.jp