EU理事会、使い捨てプラスチック製品禁止法案を採択
(EU)
ブリュッセル発
2019年05月22日
EU理事会は5月21日、使い捨てプラスチック製品の流通を2021年までに禁止する法案(「特定プラスチック製品の環境負荷低減に関わる指令」案)を採択した。法案は欧州委員会が2018年5月28日に提出(2018年6月5日記事参照)した。ストローやカトラリーなど一般的に利用されている使い捨てプラスチック製品が禁止対象となる。指令はEU官報掲載の20日後に発効予定で、EU加盟国は発効から2年をめどに指令に対応した国内法を整備することが求められる。
欧州流通産業団体は廃棄物管理インフラの整備求める
EU理事会は指令の主目的として、1回または短期間の利用後に廃棄されるプラスチックごみの総量を抑制することを挙げている。流通が禁止され、代替品が存在する使い捨てプラスチック製品は以下のとおり。
- 皿
- カトラリー(フォーク・ナイフ・スプーン・箸など)
- ストロー
- マドラー
- コップ
- 風船用の棒
- 綿棒の軸
- 発砲ポリスチレン製の食料・飲料用容器
- オキソ分解性プラスチック製の全製品
また、EU加盟国は下記の目標達成を目指すことで合意した。
- プラスチック・ボトル回収率:2029年までに90%
- プラスチック・ボトルのリサイクル材料含有率:2025年までに25%、2030年までに30%
欧州委が5月21日に発表した声明で、フランス・ティーマーマンス第1副委員長は「使い捨てプラスチックによる海洋汚染の防止を求める市民の声に、EUは喫緊の課題として応える」「世界に持続可能な生産と消費の在り方を示す、新しい野心的な基準をEUが確立することは誇るべきこと」とコメント。ティーマーマンス第1副委員長を、5月23日から始まる欧州議会選挙で次期・欧州委員会委員長の筆頭候補者に推す欧州社会党(PES)は、今回の指令について、同副委員長の業績としてたたえる声明を発表した。
なお、使い捨てプラスチック製品の需要者である欧州流通事産業団体のユーロコマースは5月21日付の声明で、欧州の小売り・卸売事業者として、EU理事会の指令承認を「持続可能な消費の在り方を示す」として支持する方針を明らかにしたが、欧州委や加盟国政府に対して、禁止対象製品の定義のハーモナイゼーション(域内調和)と廃棄物管理のための十分かつ適切なインフラ整備の奨励も求めている。
(前田篤穂)
(EU)
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