欧州議会選挙、極右・国民連合の勝利の流れ

(フランス、EU)

パリ発

2019年05月23日

5月26日に実施されるフランスの欧州議会選挙で、極右の国民連合(RN)が政権与党の共和国前進を破り第1党となる可能性が強まっている。調査会社エラブが5月19~21日に2,004人を対象に実施した世論調査では、国民連合の支持率は23.5%と、共和国前進の23%をわずかながら上回った。同社は「この1週間でRNが支持率を1.5ポイント伸ばす一方、共和国前進は0.5ポイント減らした。勢いはRNの方にある」と分析。別の調査会社イプソスが5月14~17日に9,610人を対象に実施した世論調査でも、同様の結果が出ている。4月時点の調査では、共和国前進がRNを上回っていた(2019年4月15日記事参照)。

「反マクロン大統領」を前面に押し出した国民連合の選挙キャンペーンが奏功しているもようだ。マリーヌ・ルペン党首は5月16日付の「ル・フィガロ」紙とのインタビューで、国民連合の勝利は「マクロン大統領の(改革の)足に歯止めをかけることになる。欧州議会選挙で共和国前進が第1党の地位を獲得できなければ、任期後半の大統領の政策実施は非常に困難なものになる」と強調。マクロン政権への反対票を国民連合に投じるよう呼び掛けた。

他方、マクロン大統領は5月21日、複数の地方紙とのインタビューで、「国民連合のプロジェクトはフランスを弱体化させ、欧州を分裂させる。5年前の欧州議会選挙を制した国民連合(当時の政党名は国民戦線)は、欧州議会でフランスの国益になる全ての提案に反対票を投じた」と批判した。大統領は欧州議会選挙後、欧州議会議員や欧州市民を交え、今後5年間の欧州戦略を協約のかたちでまとめるとしたほか、環境政策では欧州レベルでの航空機燃料(ケロシン)への課税、移民政策ではシェンゲン協定を抜本的に見直すことも辞さない方針を示した。

欧州議会選挙の投票率の予想は41~45%と、前回の44%並みに低くなるとみられている。直近の世論調査によれば、「必ず投票に行く」と答えたのは、共和国前進支持者で56%、国民連合支持者で52%。各政党ともに支持者をどれだけ動員できるかが勝利の鍵を握る。

(山崎あき)

(フランス、EU)

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