英国議会の離脱協定案否決で4月12日のEU離脱が決定、なお打開案模索

(英国、EU)

ロンドン発

2019年04月01日

英国がEUから離脱(ブレグジット)する予定だった3月29日、政治宣言と切り離した離脱協定案のみの採決(2019年3月29日記事参照)が英国議会で行われ、賛成286票、反対344票でまたも否決された。この結果、英国は4月12日午後11時(英国時間)にEUから離脱することが確定した。

英国政府は4月12日より前に欧州理事会に対して、ブレグジットに関する英国の新たな方針を示すことになる。合意なき離脱(ノー・ディール)や、5月の欧州議会選挙への参加を伴う長期間の離脱延期をEUに要請するなどの選択肢があるが、首相はなお自身の離脱協定案に基づく円滑な離脱を追求し、4度目の採決を模索する構え。一方で、議会は4月1日、一連の代替案に関する2度目の採決を行う(2019年3月28日記事参照)。

今回の採決の票差は58票で、1月15日の230票、3月12日の149票より大幅に縮小。しかし、北アイルランドの民主統一党(DUP)の10人に加え、与党・保守党からもなお34人が反対票を投じた。保守党からは、欧州調査グループ(ERG)副代表のスティーブ・ベイカー元EU離脱担当閣外相らEU離脱強硬派に加え、ドミニク・グリーブ元法務長官やジャスティン・グリーニング前教育相ら、2度目の国民投票を支持するEU残留派の代表格も造反。強硬派・残留派双方の根深い抵抗が浮き彫りとなった。DUPの賛成への転換を条件にしていたERG代表のジェイコブ・リースモグ議員らは、DUPが態度を変えていないものの、政府支持に回った。ボリス・ジョンソン前外相らも賛成に転じており、長期の離脱延期やEUの関税同盟残留などソフトな離脱に向かう可能性が増していることへの強硬派の危機感も示された。

野党・労働党から賛成に回った議員は5人にとどまった。採決前には、ガレス・スネル議員ら同党と同党系無所属の議員6人が、離脱後に行われるEUとの将来関係に関する交渉について議会の発言権を高める修正動議を提出しており、政府はこれを受け入れる意向だったが、ジョン・バーコウ下院議長はこれらの修正動議を取り上げなかった。テレーザ・メイ首相は3月29日の議会答弁で、離脱協定案可決後に同協定を国内法制化する過程でも修正動議の内容を反映できると述べており、引き続き労働党議員の支持も求めていく考え。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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