ニューヨーク州、2020年3月からプラスチック製レジ袋の使用禁止

(米国)

ニューヨーク発

2019年04月05日

ニューヨーク州は2020年3月1日から、州内の小売店や食料品店などで使い捨てプラスチック製レジ袋の使用を禁止することを決定した。4月1日に成立した2019~2020年度州予算のうち、交通・経済開発および環境保全予算(Transportation, Economic Development and Environmental Conservation)の関連法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとして制定した。カリフォルニア州に次いで全米で2番目となる(注)。

新たに導入される規制は、原則として、州内で売上税を徴収する全事業者に適用されるが、食品配送やレストランで使用される持ち帰り袋、デリや生鮮食品に使用する袋、新聞を入れる袋、クリーニング用の袋、リサイクルやごみ用袋、薬局で使用される処方薬の薬を入れる袋などは対象外となる。

これに加えて、新たに州内の郡や市に対して、独自の判断に基づき、小売店などで提供する紙製レジ袋に5セントの税金(paper carryout bag reduction fee)を課すことも認められた。得られた歳入のうち、4割は州内・地方政府が実施する低所得者層向けの再生可能なレジ袋(エコバッグ)購入プログラム、6割はニューヨーク州環境保護基金の資金に充てられる。

アンドリュー・クオモ州知事は法制定前の1月13日に、「連邦政府が環境(対策)への取り組みを後退させ、私たち地域社会を環境汚染業者や石油会社の犠牲にさらしているが、われわれニューヨークは全米でも最も強力な環境政策を推進し、将来世代のために天然資源の保護に全力を尽くす」と述べている。環境団体リバーキーパーのロビイストであるジェレミー・チャーソン氏は、プラスチックによる海洋汚染の問題が日々悪化する中で、きれいな水を飲み続けるための大きな前進だと述べるとともに、「消費者に(エコバックなど)再利用可能な袋の利用を促すために、地元政府に対して紙レジ袋への課金導入を促す」と述べた(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版4月1日)。

一方で、一部の州議会委員や環境団体からは、紙レジ袋への課金が選択制のため、プラスチック製レジ袋が紙袋に置き換わるだけで、環境対策としては不十分と批判する声もある。ニューヨーク環境擁護団体のピーター・イワノビッチ理事は「使い捨てのレジ袋を浪費することへの対応としては弱い」と指摘し、「ニューヨークは真のリーダーシップを発揮する必要があり、(そうでなければ)期待外れに終わる」と述べた(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版3月28日)。

(注)ハワイ州は、全ての郡でレジ袋に関する規制が設けられており、実質的には使い捨てプラスチック製レジ袋使用が禁じられている。

(樫葉さくら)

(米国)

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