英国議会が離脱延期を支持、2度目の国民投票実施は大差で否決

(英国、EU)

ロンドン発

2019年03月15日

英国議会は3月14日夕方(現地時間)、3月29日に予定されている英国のEU離脱(ブレグジット)を延期することの賛否を問う採決を行った。その結果、政府が提出した離脱延期の動議が賛成413票、反対202票の大差で可決された。延期には英国以外のEU加盟27カ国全ての同意が必要となるため、3月29日に合意なき離脱(ノー・ディール)となる可能性は今もなお消滅していないが、延期される可能性は高まった。

政府の動議は、3月20日までに政府が議会に問う3度目のブレグジット合意案採決が可決された場合、関連法を成立させるために6月末までの延期をEUに要請するというもの。同時に、もし合意案採決が否決された場合は、長期間の離脱延期や5月の欧州議会選挙への参加が必要となる可能性を議会が承知することを条件付けた(2019年3月14日記事参照)。

欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長は採決前に、英国がブレグジット戦略の再考と合意形成が必要と考えるなら、長期間の離脱延期も前向きに考えるようEU27カ国に要請するとツイート。3度目の採決に向けて、英与党・保守党の離脱強硬派を揺さぶっている。同派とともに、採決のカギを握る北アイルランドの民主統一党(DUP)は、英政府やアイルランドのレオ・バラッカー首相と協議を行い、合意支持に転じる可能性を模索している。

政府動議採決に先立ち、複数の修正動議も採決された。このうち、EU残留を支持する超党派議員の修正案は、議会が承認したブレグジット合意を支持するか、EU残留を支持するかを問う国民投票を行うための延期を求めるもので、野党・労働党の大勢が棄権したことから、賛成85票、反対334票の大差で否決された。他方、親EU超党派議員が提出した、離脱延期の期間を6月30日までに制限することを求める修正案は賛成311票、反対314票の3票差で、合意形成に向けて議会が3月20日の議事を管理することを求める修正案は賛成312票、反対314票の2票差の僅差で否決された。連日、政府の動議が否決されていたテレーザ・メイ首相は、辛うじて踏みとどまった格好だ。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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