米財務省、ベネズエラ国営石油会社を制裁対象に指定
(米国、ベネズエラ)
ニューヨーク発
2019年02月05日
米財務省は1月28日、ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)を経済制裁の対象に指定すると発表した。米国内にあるPDVSAのあらゆる資産は凍結され、米国企業による同社との取引は原則禁止される。PDVSAの石油事業はベネズエラにとって主要な外貨収入源であり、制裁はニコラス・マドゥロ政権への圧力をさらに強めるためとみられる。
ジョン・ボルトン大統領補佐官は会見で、「(経済制裁によりベネズエラの)約70億ドルの資産が凍結され、今後1年間で110億ドル以上の輸出における損失が生じるだろう」と述べた。スティーブ・ムニューシン財務長官は「マドゥロ政権によるベネズエラの資産の流用を防ぐ」ものだとし、ベネズエラに民主主義を取り戻すためにあらゆる外交・経済手段を用いてフアン・グアイド暫定大統領を支援すると述べた。さらに「グアイド暫定大統領、あるいは民主的に選出された政府への迅速な政権交代をもって、PDVSAへの経済制裁は解除される」と語った。また、米国内で営業するPDVSA傘下の石油会社シトゴは米国での営業を続けることが可能だが、PSVSAに還流していた資金は米国の封鎖勘定に送金されると説明した。
一方、制裁の実施には適用除外規定が盛り込まれている。石油・同関連製品については、米国企業ならびに米国で活動するPDVSA傘下のPDVホールディングス、シトゴ関連会社による、PDVSAまたは同社が50%以上の資本関係を持つ関連会社との取引や活動は、4月28日午前0時01分まで認可される。加えて、非米国企業によるPDVSAおよび関連会社との取引でも、米国企業が関与する場合(米国の金融システムや商品仲買人などが関係する取引を含む)は制裁の対象となるが、4月28日午前0時01分までの猶予期間が設けられた。シェブロン、ハリバートン、シュルンベルジェ、ベーカー・ヒューズ、ウェザーフォード・インターナショナルの5社については、7月27日午前0時01分までPDVSAまたは同社が50%以上の資本関係を持つ関連会社との取引や活動が認可される。なお、在ベネズエラの米国企業はPDVSAと関連企業からのガソリンなどの石油精製品の購入が認められているが、輸出や転売目的での購入は禁止されている。
米国とベネズエラとの関係をめぐっては、トランプ大統領が1月23日、グアイド国民議会議長による暫定大統領就任の宣言を受けて、同氏を暫定大統領として承認するとの声明を発表している。これに対し、マドゥロ大統領は米国との国交断絶を宣言しており、米政権とマドゥロ政権間の対立が強まっている。
(須貝智也)
(米国、ベネズエラ)
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