欧州委、EU・ユーロ圏の経済成長率予測を下方修正
(EU、ユーロ圏)
ブリュッセル発
2019年02月13日
欧州委員会は2月7日、冬季経済予測(中間見通し)においてEU加盟28カ国の2019年の実質GDP成長率予測値を1.5%、ユーロ圏については1.3%と発表、2018年11月の秋季経済予測(2018年11月9日記事参照)からそれぞれ0.4ポイント、0.6ポイント下方修正した。特に、ドイツ(1.8%→1.1%)、イタリア(1.2%→0.2%)などユーロ圏主要国で大きな下方修正となった(表1参照)。2020年については、EU加盟28カ国は1.7%、ユーロ圏は1.6%とした(ともに前回予測から0.1ポイント下方修正)。2019年の消費者物価指数上昇率(インフレ率)についても、エネルギー価格の下落を受けて下方修正した(表2参照)。
貿易摩擦、中国経済、英国のEU離脱を懸念
欧州委は下方修正の要因として、世界貿易の成長減速、先行き不透明感による景況感の後退、労使対立や自動車生産の落ち込みなどを挙げた。ただし、物価上昇、雇用、財政収支など経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)は健全だとし、雇用改善や良好な資金調達条件、やや拡張的な財政政策によって、緩慢ながら経済成長が続くと見通している。
一方、予測のさらなる下振れ懸念要因として、貿易摩擦の激化に言及。また、中国の経済成長が予想よりも大きく減速した場合には、世界金融市場と新興国市場が急激な変化にさらされる可能性もあると指摘した。さらに、先行きの見通しを難しくする要因として、英国のEU離脱(ブレグジット)も挙げた。
欧州委のバルディス・ドムブロフスキス副委員長(ユーロ・社会的対話、金融安定・金融サービス・資本市場同盟担当)は「ユーロ圏の一部の国では、ソブリン・リスク(政府債務の信用リスク)と銀行の信用リスクの負の連鎖の懸念が、再び表面化しつつある。リスクの高まりに注意するだけでなく、投資促進や構造改革の取り組みの加速、慎重な財政政策など、適切な政策が必要だ」と強調した。また、ピエール・モスコビシ委員(経済金融問題・税制・関税同盟担当)は、ファンダメンタルズの健全性と雇用面での改善に触れて「経済成長は今年後半から2020年に、次第に勢いを取り戻すはずだ」と述べた。
(村岡有)
(EU、ユーロ圏)
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